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彼女の手料理『修羅覇王編』


 俺はいま、ひどく緊張していた。

 どくどくと血管の中を血が驚くべき速度で流れ、心臓もそれに呼応するように高鳴る。

 額には自然と汗が流れ、強く握りしめた手のひらはすでにグッショリと濡れていた。

 もしかすると、犯罪を犯す前の人間の心理とは、このようなものかも知れない。

 …ともかく、俺はひどく緊張していた。

 そして、目の前に座った人物が口を開く。

「どうぞ、食べてみて」

 無機質な声。この状況を楽しんでいるわけではないが、観察するような態度が見受けられる。

 その人物とは…イヴだ。
 
 

 今から2日前のこと。

 図書館の中で…。

「ああ…もう、面倒だよな…こういう調べ物は」

 俺はそのへんに資料を並べて呟いていた。

 まったくアルのやつ、どーしてこういう面倒なことは俺に押しつけるかなー。

 ま、あの筋肉バカに任せたらどうなるのかはわかってるけど。

 と、心の中で呟く。そうでなきゃやってられるかよ。

「調べ物…?」

 耳元で聞こえる無感情の声。振り向くとそこにはこの図書館の司書こと、イヴ・ギャラガーが立っていた。

「ああ、イヴ。そーなんだよ。まったくアルの奴にも困ったもんだ」

 ため息をつく。そんな俺の様子を見てかイヴが口を開く。

「それでも、効率よく仕事をするためには役割分担は必要だと思うわ。彼は彼なりにできる仕事をやっているはずよ」

「まあ、そりゃそうだけど…なんだか納得いかないな」

「そうね。でも仕事でしょう?」

「まあ、ね。しょうがない。あのバカのためにも調べ上げるしかないな」

 俺は再び、資料の山と格闘を開始する。

 そして、ひとしきり終わった後、イヴがコーヒーを持ってきてくれたりする。

 うむ、なかなかいける。俺はコーヒー通だがこれはうまいと思うぞ。

「ごちそうさま…さてと、資料もまとめたし…」

 俺は立ち上がろうとして…

 ぎゅーぐるるるるる…

 妙にもの悲しいメロディが俺の腹の中から響いてきた。硬直する俺。

「いや、これは…その」

「お腹が空いているの?」

「…はう…そうなんだ。実は給料日前でさ。食べ物を買うにも先立つ物がなくて…ここんところ1日缶詰3個で過ごしてるんだ」

「そう。道理で顔色が悪いわけだわ」

 冷静に言う。

「そうだ!なにか作ってくれないか?」

 俺の言葉にふと止まるイヴ。一見無表情に見えるが、大きな戸惑いがその裏に見え隠れしていた。

「私はあまり料理には自信がないから…」

「うーむ、そうか。それじゃしょうがない。恥をしのんで隊長の所にトリーシャの手料理でもいただきに…(小声)」

「でも、やはり心配だから作らせていただくわ」

 あっさりと言い放つイヴ。よし!誘導成功!

「え、マジ?やったーっ!これで飢え死にしないですむ」

「あなたが言うと現実感があるわね」

「う…ひどいわ。…それで、いつ作ってくれるの?」

「今日でも構わないわ。あなたの給料が入るまで作らせていただくけどかまわないかしら」

「うんうん!もちろん!まさに望む所だよ!!」

 俺は大きく飛び上がりながら言う。

「喜ぶのはいいけど、図書館では静かに願いたいものね」

「あ、ごめんごめん。しっかし嬉しいなあ。まさかイヴの手料理を味わえるなんて。うむうむ最高の気分だ!」

 そして、俺は真剣な表情になって聞く。

「もちろん、作るときは裸エプロンだろう?」

「ヴァニシング・ノヴァ

 ずごごごごごおおおおおん!!

 俺は強烈な呪文の一撃を喰らって大きく吹っ飛んだ。

「何か言うことはあるかしら」

「ご…ごべんなざい」

 俺はただただ謝るほかなかったという。
 
 

 そんでもって現在。

 俺は今ある残酷なる現実から半分逃避しかかっていた。

 理由は…目の前にあるこの物体の群れにある。

 魚を完全に消し炭になるまで焼き続けたらこうなるかもしれない、魚に似た形の黒い炭

 妙に粘液質な深緑色をした…おそらくはスープ。

 ほかにも妙にかぐわしき混沌の匂いをもったドレッシングがかけられた…生野菜のサラダなどなど。

 そういった奇妙な…それでいて残酷にディフォルメされた料理の姿をもったものが俺の目の前に並んでいた。

 俺はそれをナイフとフォークを握ったままで眺め続け、イヴはその様子を真剣な眼差しで見つめている。

 こいつは…ヘヴィだぜ。

 ちなみに料理しているときの様子も尋常ではなかった。

 ちゃんと魔法機関で制御されていたはずのコンロが天高く火を噴き、なぜか圧力釜は自爆し、材料とおぼしきものの半数以上はごみ箱の中で眠り続けている。

 当然、イヴも無事ではすまなかった。

 ところどころ煤に汚れ、美しい長い黒髪は火であぶられたせいか、先のほうがややちぢれぎみだ。

 …なんだかこういうイヴも珍しいような気がしないでもないが…。

「食べないの?」

 無表情で威圧をかけてくるイヴ。どうもこれは残した瞬間に俺の命の炎が消えてしまいそうな気がする。

 ええいっ!迷ってる場合ではない!

 俺は瞬間で決断し、まずは魚にフォークを突き刺す。

 さくっ

 …おい、さくってのはなんだ?まるで骨の芯まで黒焦げになってるみたいじゃないか。

 さくさくさくっ

 フォークを突き刺す度に流れる実に軽快なメロディ。これは確実に消し炭だ。しかもどうやったかは知らないが骨まで完全に火が通りきっている。

 これってやばくないか?

 いや、それでも食わないわけにはいかないだろう。それに消し炭になった魚ならいままでいくらかは食べたことがある。我慢すれば耐えられないわけではない。第一ここで残してイヴを残念がらせるのは俺の本意ではない。

 意を決して俺は魚の一部分を切り取って口に運ぶ…。

 一つだけ聞きたいことがある。

 君はレンガを食べたことがあるだろうか?

 おそらくはないだろう。いや普通の人間ならばまず食べないはずだ。

 かくいう俺も食ったことはないが、それでも味の予測はできる。

 もしも、レンガを食ったことのある酔狂な人間がいたら教えてくれ。…うまいか?

 俺の思考はいったんストップ。あまりにも予測を外しまくった味に思考がついていかないのだ。

 ようするに、だ。

 イヴの作った魚の焦げ焼き(つーか、炭)は異様なほどにまずかったのだ。

 もしも味について階級があるのなら、そして俺のいつも食している缶詰を普通ランクと想定するなら、この料理は地獄最下層ランクイン…つーかもうそこにしか居場所がないっつーか…もうとんでもないほどのレベルになっているだろう。

 正直言ってこの味、ただ単にまずいとか言う問題じゃなくて、味自体が毒と化しておるぞ。

 こう見えても俺はかなりの悪食だ。焦げた魚程度ならちょっと苦いかなー程度で我慢できるほどだ。しかし、この味は…俺でも死にそう。

「どう。おいしいかしら」

「う…うん…めちゃくちゃおいしいよ」

 俺は必死で額から出る脂汗を出しながら答える。

 ここで『こんなもん食えるかー!!』とかできないこともないのだが、さすがにそれはまずいだろう。

 なにせイヴのせっかく作ってくれた手料理だ。ムダにはできまい。

 それに……ここで下手なことをやると後が怖い。

 なんだかどっかの大木に向かってわら人形にクギでも打たれそうだ。いや、彼女ならできないはずがない。人形のことは彼女が一番知ってるはずだ。

 てなわけで俺は死と気絶の狭間で戦いながら、その魚を制圧した。所要時間12分34秒。

 エンフィールド早食い選手権、堂々2位の記録はもろく、あまりにもその存在の前に無力であった。

 さて、次だ。この妙にシンプルな緑色をした粘液質のスープ。…中華?

 いわゆる粘液質のスープは大抵の場合濃厚な味わいが多く…ってめっちゃめちゃやばいやんけ!!

 俺の手にしたスプーンは、そのスープの入った皿を行ったり来たり…うむ生存本能に実に忠実にできている俺の身体。

 しかし…だ。

「…………………」

 俺を黙って見つめるイヴの眼差し…。瞳に映る期待と不安の色。ううっ!そんな目で見られたら食うしか選択肢がないじゃないか!!

 しゃあねえ!!覚悟を決めて!!

 ごくっとな。

 俺は皿を手に抱え、一気にそのスープを飲み干す!!

 …口に広がる…あれ、味がない。

 いわゆる無の味…水みたいな感じだ…。かすかに塩味は感じる。

 まるで塩のスープみたいだな。

 なんだ。さっきのことで不安になっていたがこれならば大丈夫だ。

「どう…?」

「ああ、そうだね、もうちこっと塩味を効かせた方が…げぶはあっ!!

 ぐわっしゃーん!!

 俺は会話の途中でもんどりうってダウン。後頭部をしたたかに床に打ちつけた。

 そう、さっきまではたいしたこと…っていうか味自体がしなかったのだが…突然胃の奥あたりから味が上りつめてきたのだ。

 ぐうううううっ!これはきつい!!まじで死にそう!

 味的に言えば、優雅な午後の昼下がり、ちょいと仕事が片づいてうたた寝気分のときに、突然襲ってきたアルのジ・エンド・オブ・スレッドと本気のトリーシャチョップ100連打を喰らった風味!!

 その破壊力は想像を絶する!

 …う…なんだか視界が遠くなっていく…

「どうしたの…」

「あ、ああ…いま、なんだか足を滑らせて…」

 心にもないうそをつく。ダメージが大きくまだ立つこともままならない。

 なんで料理が神経細胞に直接効くのか…わからない。だがそれは事実ということだけは認めなきゃらならないようだ。

 しばらくして俺の身体のダメージがある程度回復した時点で、再びテーブルにつく。

 残されたのは、妙な混沌のかぐわしき香りのするドレッシングがかかったサラダと、そして外見だけはまともに見えるプリンのみ。

 野菜はドレッシングを乗り越えることができれば、なんとかなるだろう。

 プリンは…まともだ。まともに見える。今までの異様な外見と比例したあの風味から推測するとこれは唯一汚染されていない貴重なる食物。

 最後の関門をくぐり抜けた勝者に与えられる栄冠となるべき味であろう。そう推測…いや期待する。

 さあ、戦いはこれで最後だ。気を引き締めろ!!

 俺は勇ましく、フォークをサラダに突き刺して、混沌のドレッシングをものともせず一気に口に運ぶ。

 同時に精神を最大限に圧縮し、来るべき攻撃に備える!自警団特有の精神制御(マインド・セット)だ。

 だが、そこに来たのはただのドレッシングのちょっと甘酸っぱい味。

 充分に引き締まった気が霧散していく。

 なーんだ。匂いと外見は混沌だが、味はそれほどたいしたものでもなかったか。…などと、甘い考えを起こす俺ではない。

 この前の敗因はその油断にあったのだ。だから俺は絶対に油断はしない。

 そして来るべき混沌の味への防御体勢を固める。

「どうして、必死で耐えるような顔をしているの?」

「充分に味わっているのさ。イヴのおいしい料理をね」

 さわやかに極大のウソを言ってのける。確実に俺は地獄に落ちるだろう。

 そして、2分が経過し、口の中にあったドレッシングの風味が消えた。

 どうやら俺の心配は杞憂に終わったらしい。安心して、口の中にあった野菜をかむ。

「もぎゅぴろはふぉるおあおっそっ!!」

 がっごーん!!

 俺は自分でもなにを言ってるかわからない奇声をあげて超豪快にテーブルに頭突きをかましてしまった。

 頑丈なはずのテーブルにひびが入り、俺は痛みよりも味でのたうち回って苦しむ。

 ま、まさか、ドレッシングが野菜に反応して凶悪な味へと変化する反応型のトラップとは!!

 なんでここまで陰険で狡猾なる罠ができる!?これは異世界の殺人技術か!?

 のたうち回り苦しみ続ける。ノドが灼ける。魂が削られていく。

「フェイルさん!?」

 心配そうに駆け寄るイヴ。俺は右手を上げかろうじて生きていることをアピール。

 と同時に生存本能をストップ。全ての器官、全ての精神をただ食欲のみに傾け、サラダを掴む。

 バクバクバクバク…がくっ

 そして、最後のレタスを胃に流し込んだ時点で、俺の意識が別の世界へと飛んだ。

 完全な純白の世界。

 目の前にいるのはノイマン隊長。ただ、俺を見下ろすような形で立っている。

「なぜ、そこまでして戦うのだ。フェイル」

 俺はノイマン隊長の問いに笑って答えた。
 
「男には決して引いてはならない時がある。隊長の言葉です」

「ふ…」

 俺の言葉に隊長が消えていく。

「ならば行け。己の信じた道を…」

 そして、俺は再びもとの世界へと帰ってきた。

 心配そうな瞳の色を見せるイヴ。

「どうしたの…?」

「ちょっと体調が悪かっただけだよ。急においしいもの…そうおいしかったもの…そう切望…いや、とにかくそれを急いで食べたものだから」

 蒼白になりながら、超特大クラスのレッド・ゾーン的ウソをつく俺。この時点で俺の地獄最下層送りは確定したようなものだろう。

「さ、さあ最後のデザートに取りかかろうか。では」

 ごくり…

 俺はプリンめがけてスプーンを振りおろし、それをすくいとって口の中へとフェードイン。

 口の中に広がる甘美な味わい。まろやかにて極上のさわやかな甘みが口に広がり、まさに聖戦に勝ち抜いた俺にとって祝福の味となっていた。

 俺は知らずのうちに涙を流し、感動に酔いしれる。

「そんなに美味しかった?」

「うん。最高の…この世で最高の気分を味わえたよ」

 俺は押し寄せる感動の余韻に浸りつつ、さらに口の中にプリンを運ぶ。

 ああ、至福なり。

 とまあ、最高の感覚を味わっていた俺だが、ふとした疑問に駆られ問う。

「ところでイヴ。もしかして料理の経験は…」

「ないわ」

 あっさりと答える。

 …なるほど、確かにそれならこの殺人的料理は…作れるのか?

 い、いや作れると仮定しようじゃないか。

「ふむ…ではなんで料理なんか作ってくれるって…」

「あなたがどうしてもって…言うから」

 ほんのりと頬を染めるイヴ。

 うおおおおっ!

 なんつーかめっちゃうれしいぞ!!これは!!

「イヴうううっ!!」

「あ…フェイルさん!!?」

 ばったーん!

 俺は本能の赴くままにイヴを床に押し倒した。

「あ…やめて…」

「いやいやいやいや!!やめる気は毛頭ないぞ!」

 俺は手をわさわさと動かしエプロンのひもをほどいていく。

「今は昼…それに人が…」

「だーいじょうぶ!!ここは団員寮だ!!今全員出払ってるから問題はナッシング!!」

 俺はイヴの制止の声も聞かずに今度はドレスのすそを引っ張りながら要所要所の結び目を外していく。じょじょにイヴの白い肌が見え隠れし始め
る。

「イヴ…綺麗な肌だ…」

「…そんな…」

 さっとイヴの肌に赤みがさしていく。照れているのか。

 その時点でイヴの抵抗はなきに等しくなってきた。

「イヴ…いいかい?」

「だ…だめ…」

 口では否定するものの、身体は抵抗していない。俺はそれを了解ととった。

 そして、俺はイヴの着ている服をそっと外そうとしたとき…。

「ぐはああああああ!!」

 げばあああっ!!

 口からあふれ出す大量の血液!

「血…血が…」

 びきびきと目の血管が張り出し、全身の血液が沸騰していくような感覚を覚える。

「あ…が……ぐうっ!」

 めきめきめき…!!

 不気味な軋む音ともとに俺の腕の筋肉が引きちぎれる寸前まで張り詰めていく。当然俺の意思ではなく、なにかの強制的な力によってだ。

「ふぇ…フェイルさん!?」

「い…イヴ…がはあっ!?」

 ばたん

 俺はあまりの激痛に意識を失うこととなった。

 ただただ俺の周りを埋め尽くしていく血だけが印象に残った。
 
 

 数日後、俺はクラウド医院で目を覚ますこととなった。

 ドクターの診断によると『数種類の薬物、もしくはそれに準ずるものによる複合効果によって引き起こされた凶悪な部類の中毒症状』とのことらしい。

 原因は…言うまでもあるまい。あの料理だろう。

 …ただ、まずいだけではなく、殺人的効果まで生み出すとは…恐るべし。

 そして、俺はしばらくクラウド医院で療養を取ることにしたのだが。

 コンコン…

「入ってもいいかしら」

「…イヴ、…も、もちろんだよ」

 俺は逃げ出したいという本能を押さえながら、入ってきたイヴを見る。

 ここ数日の間、いつも俺のところに見舞いに来てくれている。

 アルも来たが、やはりこっちの方が嬉しいのは男の本能と言うべきか…。

 ただ、一つの点をのぞけば…だが。

「早く良くなって貰いたいから…また持ってきたわ」

「う…うわあ…うれしいなあ…」

 俺は感情のまったくこもらない棒読みセリフで言う。

 イヴが持ってきたバスケットの中からあるものを取り出す。

 この世のものとは思えない、異彩と異臭を放つ別次元の物体を。

「今日はパティから教わった鴨とウサギのグランベリーソース添えよ。怪我にも効くらしいわ」

 …鴨? …ウサギ? …グランベリー?

 俺には黒焦げになったオーガーの肉と半生状態のグリフォンの肉に煮溶かしたスライムをこれでもかってくらいにぶっかけた謎の儀式用の供物に見えるのだが…。

「さあ、食べて…」

「あ、ごめん。いま俺は手を動かせないんだ」

 俺はぷらぷらと包帯をまかれた手を見せる。ここ数日で大きく悪化した筋肉痛のせいだ。

 うむ、これならフォークもナイフも握れないから食べなくてすむ。ナイスだ!俺の病状悪化よ!!

「そうね。それなら」

 バスケットの中からナイフとフォークを取り出して、それを手際よく一口サイズに切っていくイヴ。ま…ましゃか?

「はい。口を開けて…」

「あ…は…はは…」

 どうも俺に食べさせてくれるらしい。俺はそれに異様な威圧感を感じて口を開けてしまう。そこに入ってくる謎の物体。

 次の瞬間、世界が灰色に変化する。

 脳が焼き切れ筋肉が引き裂かれるような味。

 脂汗をだらだらを流す俺に、かすかな笑みを浮かべて聞いてくるイヴ。

「美味しい?」

「た…たいへんおいしゅうございます」

 口の端から血を流しつつ俺は意識をかろうじて保ちながらそう言うのだった。

 ちなみに俺が退院するのはこれから1月も先のことだったという。

 …地獄じゃ。
 
 
 

追記:このあと俺は命にかかわるかもしれないということでパティにイヴの料理の指導を依頼。
   数カ月におよぶ厳しい指導の末、ようやくまともな食事を味わうことができるようになった。
   ただ、ときどきトラップのごとく例の料理が発生していてこの世の地獄を味わうことになったのだが…たのむから勘弁して欲しいものである。


END


 

 矢本:やっぽう。
    おにゅうのパソコンを購入し、最高気分で生きている矢本です。
    どうでしたか。今回のお話。
    …イヴが人形だった…ってことで味覚は正常に働いているのかなーなんてことを考えている内にできたSSだったりします。
    しっかし毎回我ながらとんでもないものを書き上げてしまったものだな。
    これじゃ若葉の殺人料理よりも凶悪なものに仕上がっているじゃないか。
    うーみゅ。イヴファンのかた。ごめんなさい。
    …をや、例によって兄者の攻撃が来ないな…。どっかに隠れているに違いない。
    つーわけで防御準備をと…
 nao:せいっ!!

 ぶうん!!

 矢本:あまい!反撃じゃあっ!わがぴこぴこハンマーの威力を見よ!!
 ぶん!! …すかっ?
 矢本:あ、あれ、兄者の姿が消えた?確かに捕らえたはずなのに…?
 nao:残像だ。
 矢本:うきゅ?

 ぞくしゃああああっ!!

 矢本:もっきょおおおおおっ!?
 nao:ふむ。今回もなかなか見事に斬れたものだ。
 矢本:あ、あう…兄者なぜに…
 nao:なぜに…だと?貴様この期におよんでまだほざくか。
     イヴファンの方々にかけた侮辱、万死に値する。
     第一、なぜにイヴがあそこまで破壊的な料理を作ると言うのだ。
 矢本:だ、だって、やっぱそのほうがおもしろいかと…
 nao:口答えをするな。

 ぐばっしゅっ!!

 矢本:どぐまあああああっ!!
 nao:貴様はいつもそれだけを繰り返す。それで許されると思っているのか?
 矢本:だって、面白いものが優先されるのは世の常だと…
 nao:阿呆が。

 ごくしゃあああっ!

 矢本:あがあああああっ!!
 nao:貴様にその権限は与えられていない。基本的人権がお前にあるとまだ勘違いしているようだな。ならば、貴様の立場、存分に理解させてやろう。

 ぞくしゃあっ!! ごばしゅううう!! ざっぱーん!!

 矢本:うきゅもけえええええええええっっ!!!
 nao:ふむ、三連殺、見事に入ったか。これにこりたのなら二度とおかしな真似をするな。次同じ真似をした場合、二度と生き返らぬくらいに切り刻むぞ。

 のっしのっしと立ち去っていくnao。

 むくっ

 矢本:うーみゅ、気の短い兄者よのう。
    てなわけで俺は再生が完全に終了するまで、身動きが取れなくなりました。
    通りすがりの方々。どうか、いぢめないでくださいね。
    あ、それと現在、イヴのシリアスものの構成も完了しています。
    今から書く予定ですのでお楽しみに。
    ご意見、ご感想、などなどお待ちしております。
    意見は掲示板でも、メールでも結構ですので…どうか感想を聞かせてください。
    返事は出しますので。
    それとSS依頼はまだまだ受け付け中でございます。ご希望の方はどうぞ言ってください。可能な限り書かせて貰いますので。
    そいでは次のSSにて会いましょう。さよーなら。

 naokuro@geocities.co.jp


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