店長お勧めコーナー
<注意> あくまで個人の独断の意見です。 違う部分も出てくるかもしれませんが、作品の批判をするつもりはありません。 出版会社や著者の方々に迷惑がかかるようであれば削除いたします。
<白い犬とワルツを> テリー・ケイ/兼武 進:訳 ファンタジー小説ではないけど、すごくいい小説だったので載せることにしました。 内容は、妻を亡くした主人公が見つけた白い犬と、その家族達との心温まる生活を描いたストーリーです。 私のお気に入りの場面は、所々に語られる主人公とその妻との想い出。 それと、主人公が毎日つけている日記の部分。 妻が死んだこと、白い犬を見つけたこと等・・・。 そして、クライマックス。 読み終わった後も、泣いてはいるけども「ああ、いい話だったな」と爽やかな感じになれる話です。 本の帯にある紹介文に「あなたにはこの『白い犬』が見えますか。見えるような生涯を送ってきましたか」とあります。 最近の殺伐とした世の中だからこそ、なおさらこのような事を改めて考えさせてくれるのだと思います。 ちなみに、私はまだまだのようですね。
<無限コンチェルト> グレッグ・ベア/宇佐川 晶子:訳 この本に巡りあわなければ、今の私はいなかったでしょう。 内容は、ある高名な映画音楽作曲家の指示に従い、深夜にある屋敷へと侵入した主人公。 しかし、それは妖精などが暮らしている異世界への入り口だったわけです。 ここから彼の冒険が始まります。 もちろん、ただ帰るだけでは話は盛り上がりません。 主人公が異世界で苦悩し、恋をし、冒険をして成長し大人になっていく様子に、 ページをめくる手が熱くなってくるでしょう。 ちなみに、この本は小学館発行の<マザー百科>というファミコンの攻略本にも紹介されています。 あと、この本だけでは完結いたしません。 <蛇の魔術師>も読んで初めて完結します。 これだけ読んで「つまらない」と判断しないでくださいね。
<蛇の魔術師> グレッグ・ベア/宇佐川 晶子:訳 無限コンチェルトの続編に当たる作品です。 内容は、無事元の世界に戻ることができた主人公。しかし、物語はここで終わらなかった。 なんと、彼が行った世界の住人が現実の世界へと移動し始めたのだ。 この状態を何とかしようと主人公が動き始める。 大人になった主人公が現実世界と異世界を行き来し<無限コンチェルト>で解決しなかった問題、 歌の力、なぜ主人公が呼ばれたのか等の謎が明らかになります。 クライマックスは、今まで想像できなかったような結末に驚かされました。 なお<無限コンチェルト>と<蛇の魔術師>は絶版になっているらしいです。 この作品が好きな私としては、再販して欲しいなと思います。
<夢織り女> ジェイン・ヨーレン/村上 博基:訳 この作品は夢織り女をはじめとする短編集です。 この物語は全部好きなのですが、あえてタイトルを述べるならば <夢織り女>Dream Weaverより 「猫の花嫁」The Cat Bride 「石心臓姫」Princess Heart O’stone <月のリボン>The Moon Ribbon and Other Talesより 「月のリボン」The Moon Ribbon 「サン・ソレイユ」Sans Soleil 「いつか」Somewhen <百番目の鳩>The Hundredth Dove and Other Talesより 「炎の乙女」The Maiden Made of Fire 「約束」The Promise 「昔、善良な男が」Once a Good Man 妖精物語の素朴な綺麗さを魅せている作品ばかりです。 視覚的効果以上に、読み手の心に(時には耳に)心地よく響いてきます。 あなたも夢織り女に夢を織ってもらってはいかがでしょうか?
<精霊がいっぱい!(上)(下)> ハリィ・タートルダヴ/佐田 千織:訳 ストーリーは、 「デヴォンシャーにある魔法処理場から有害魔法が漏れているということで 調査を開始した主人公。それを突き止めていくうちにとんでもない事に 巻き込まれてしまう」 という感じです。 ファンタジーなのですが、その中にうまく現実世界が交じり合っている。 というのも、現実世界の物が魔法物質に置き換わっている。 まあ、科学のかわりに魔法が普及している世界なのです。 例として電話機や時計、車や防犯装置などがあります。 もちろん、話もただ調査するだけでなく、恋人とのラブロマンスあり、 サスペンスありと楽しませてくれる要素がたくさんあります。 そこまでやっても現実世界の雰囲気を壊していないところが、 この作品のすごいところだと、私は思います。
<炎の天使> ナンシー・スプリンガー/梶元 靖子:訳 私がこの本に惹かれた理由は「無垢な天使がロックシンガーを目指す」という 設定からでした。 見事に、天使の固定概念を打ち破ってくれました。 天使の名前はヴォロス。 神に反逆してまで、ロックシンガーになるために地上(ロサンジェルス) に降りた天使のお話です。 ロックシンガーになるまでの人間模様、そしてスーパースターになってからの 人間模様も描いています。 彼らと関係を深める事によって、ヴォロスは成長していきます。 もっともそれがすべていい事とは言えないのですが・・・。 設定もさることながら、テンションは最初から最後まで上がりっぱなしです。 次々とページをめくる手が進む事でしょう。
<図書室のドラゴン> マイクル・カンデル/大森 望:訳 魔法の図書館の力を借りて本の中に出入りし、そこで冒険を楽しむ事ができる。 そういうことができる少年のお話です。 数々のストーリー、お約束を打ち破った展開。 これらに、思わず「ええっ!?」と言う事でしょう。 ”面白いと頷く”と言うのだけではないのがミソなのです。 ただ・・・。 ただですね・・・。 これを読んだ後、普通のファンタジーロールプレイングゲームが楽しいと 感じられるかどうかが心配です。 「俺は正統派ファンタジーが好きなんだ!」 という人にはちょっとお勧めできません。
<テイルチェイサーの歌> タッド・ウィリアムズ/平野 ふみ子・平野 英里:訳 一言で言えば、猫の冒険物語です。 物語は 猫が数日のうちに次々にいなくなるという怪事件に、 自分の恋人(?)の猫が巻き込まれてしまいました。 猫族の集会でも解決策が見つからないのにイライラし、 単身で恋人を探しに行くというものです。 冒頭でも述べましたが、とにかく猫に尽きます。 猫好きもファンタジー好きもいかがでしょうか?
<アルジャーノンに花束を> ダニエル・キイス/小尾 芙佐:訳 手術により白痴から天才になった主人公チャーリィと、 同等の処置をした実験動物(ねずみ)アルジャーノンの物語です。 チャーリィは手術により、普通の人以上の知能を得る事ができた。 けれど、それが幸せだとはかぎらなかったのです。 私がこの本を読んで思った事。 ”光から見る光と闇から見る光の差” 外からは憧れて見えるかもしれない。 しかし、憧れは憧れでしかなく、中に入れば、冷たい現実が待っている。 一種の心理みたいな感じですが、冷静にそれを感じさせてくれる作品でした。 なお、この作品は映画にもなっています。
<ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密> レベッカ・ウェルズ/土屋 京子:訳 (主人公)シッダが記者に漏らした一言が、(主人公)母親ヴィヴィを酷く傷つけることになり、 それが元で、絶縁を言い渡されてしまいました。 シッダは自分を見失い、予定していた結婚式を延期する事に。 そんなシッダに、絶縁状態の母親ヴィヴィから、一冊のスクラップブックが届けられました。 ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密。 物語は、ここから始まるのです。 ヤァヤァズ。 とにかく”熱い”の一言。 元気いっぱいのヴィヴィとヤァヤァズ。 彼女達の織り成す思い出全てに、友情、愛情、愛憎などがぎっしり詰まっているのです。 まさに”永遠の友情”という言葉は、彼女達の為にあるようなものだ!と言っても、 過言ではないでしょう。 ただ、少々無茶苦茶やっている所などもありますが(笑)。 ちょっと大きい本ですが、ぜひ読んでもらいたい本です。 *このスペースではとても書ききれないので、後日、コメントにでも書きたいと思います。
<ゲイルズバーグの春を愛す> ジャック・フィニィ/福島 正実:訳 今回2冊目の短編集です。(1回目は夢織り女です) ファンタジーな世界と違い、現実の世界に近い(というよりほぼ現実ですね)街”ゲイルズバーグ”を 舞台にさまざまなストーリーが繰り広げられます。 ”時”をテーマに思わず笑ってしまうもの、ラブコメ、切なさに胸が痛むものなど、多種多様な物語を 紡いでいます。 以下は、私がお勧めするストーリーです。 「悪の魔力」 「クルーエット夫妻の家」 「もう一人の大統領候補」 「独房ファンタジア」 「時に境界なし」 「愛の手紙」 といっても、ほとんどお勧めですね。 特に「愛の手紙」はぜひ読んで貰いたいストーリーです。 古い本ですが、それでも現在以上の感動を得られるとは予想もしていませんでした。
<タンジェント> グレッグ・ベア グレッグベアの日本版短編集です。 ファンタジーというよりはSFに近いものが多いのですが(本のジャンルはSF) ファンタジーとはまた違った味のある作品になっています。 作中のお勧めは 「姉妹たち」 「スリープサイド・ストーリー」 です。 「姉妹たち」は遺伝子操作を行った人としていない人との生活、その中に起こったメリットや デメリットについて、遺伝子操作をしていない主人公からの視点から描いた物語です。 (遺伝子や細胞については、ブラッド・ミュージック(SF)でも取り上げているテーマですが ブラッド・ミュージックについては別の機会に紹介したいと思います) 「スリープサイド・ストーリー」は、ストーリー自体は、 母思いの息子が、とある事件を起こした母を救う為に、一人で助けに行くという物語 という簡単なものですが、私がこの物語が好きなのは、どんでん返しの最後の結末なのです。 「姉妹たち」で今後起こりうる遺伝子操作についての深刻な問題について深く頷いたあと、 「スリープサイド・ストーリー」の落ち着いたファンタジーで、ほっとしてはいかがでしょうか? 尚、今回訳を表示してないのは、作品によって訳者が違う為です。 ご了承下さい。