一つの炎が一時も消えることなく燃え続いてる・・・その場所に彼女は休んでいた・・・。
あかあかと照らし出された巨木に身を委ね静かに我が身の回復を待ちながら・・・。
「まさか・・・あなたがいたなんてね・・・」
彼女は誰に言うでもなく呟く。・・・
それに呼応するように大木は微かに揺れる。
予想外の展開だった。巫女とこの時代に飛んでから一週間目。
あたしの前に突然現れた少女・・・
「迎えにきたよん☆」とあたしに飛び込んできたと思うとあっと言う間にこの炎の神殿に飛ばして
元の姿である大木となりあたしの止まり木になってくれている。
彼女は精霊を癒すもの。
数千年に渡り・・・世の中を見つめ・・・様々な姿に成り代わりあたしたちに力を与え続けてる。
樹の精霊。人は永きに渡り生き続けるものを神と崇める。
あたしたち精霊にとっても・・・それは同じ。
精霊神の一体。
樹王どりあど。
あたしたちはこう呼んでる。
でも彼女も王とは呼ばれながらも。
まだまだ修行中の身であり。精霊のランクとしてはあたしとおなじだったりする。
だからどりあど〜って呼び捨てに呼んで親しく付き合ってるの。
まぁ・・・さすがにうぃるの守護精霊様はこうはいかないけど。
万物の根源と言われるあの方なのだし・・・。
「それにしてもさ。よくあたしのコト覚えてたよね。」
彼女は少し考えるような仕種をすると。
「さすがに長く生きてるといろんなコトおぼえるからね。」
「ふと。きみに初めて会ったときを思い出したから・・・。」
「意識を過去に飛ばして様子見にね。」
「ふーん。そっか。どりあどにはそう感じちゃうんだ。あたしたちが元からここにいたかのように・・・。」
また少し考える仕種をする。
実のトコこの時彼女は何も考えてはいない。
なんていうか。癖みたいなもので。一時的に思考を停止させて記憶の整理をしてるみたいなの。
彼女は頷くと。「そうみたい。不思議だよね・・・と呟いた。」
どりあどの本体は・・・今あたしの止まり木になってる。
でも。今会話してるのもどりあど。
彼女は様々な姿を見せる。彼女とはよんでるけど彼でもあり。人や精霊とは違う姿を見せる事もある。
あたしたちより遥かに長い時を生き様々な経験を積み重ねて今の姿がある・・・。
「ふぇにあ?」「え・・・あ・・・。そろそろ送り届けてあげるよ。力回復したよね?」
「あ・・・うん。さーてぃ心配するしね。」「わたしはいつも丘の上いるから。なにかあれば・・・ね?」
彼女は軽くバックステップするとまたねってあたしに飛び込んでくる。
その瞬間には彼女は消え去り。あたしは元の場所に帰ってた。
あ・・・。なにかいおうとしてたけど聞き取れなかった・・・。
どりあどは丘の上にいるって言ってたけど。いったい。どこの丘なんだろ・・・。
最後に場所っぽい事言ってたけど。聞き取れてないし・・・
まいったなぁ。大木がある丘ってもこの辺りにはなさそうだし・・・。
ふぇにあ?
あ・・・。さーてぃ・・・もしかして探した?
う・・・ううん〜。全然♪
通りかかって見たことあるコだなって思って声かけただけ〜。
さ。かえろっ。みんな心配してる・・・。
そこで口を噤んではみたけどもう遅かった。
それじゃ大急ぎでかえんなきゃ。あたしの巫女が泣いちゃう前に・・・。
バツの悪そなボクをよそにふぇにあは思いっきり地面を蹴ってはしりだす。
あ〜こらぁ。まってよぉ。
ボクも慌てて追いかける
・・・けど。いつもなら簡単に追いつくハズなのに追いつけなかった。
な・・・なんでぇ?いったいなにがあったんだよぉ〜。
どりあどによって本来の力を取り戻した彼女は。ボクの数倍のスピードで丘をかけてく・・・。
そして数分後。なすすべもなくへたりこんだボクが見たものは深紅の羽根を持つ天使だった・・・
大丈夫?さーてぃ。少し飛ばしすぎたかな・・・。
そう・・・この天使に見える子がふぇにあのホントの姿。
思わずみとれちゃった・・・。
そりゃ。フェニックスの末裔なんだから羽根は不思議でもなんでもないハズなんだけど・・・。
なんていうか。息を飲み込んじゃうくらい迫力あるものだから・・・。
なにみとれてるの?
いつもの声にボクは我にかえる。
はやく帰ろよ?
みんなに心配されちゃうよ?
ふぇにあ・・・。
力戻ったんだ?
彼女はくすっと笑うと。
おかげさまでねっ。
・・・と胸を張って見せた。
ま。詳しい話は帰ってからにしよ?ね?
う・・・うんっ。そだね。帰ろっか。
そして・・・道すがらずっと気になってたあの事を聞いたんだけど・・・。