細い夢・蛇足的エンディング
今は海賊旗のたたまれた、停泊中のゴーイングメリー号の見張り台に一人座っていたルフィは、その人影が道を曲がってきたのを発見して、体を起こした。
「ん?」
つぶやいて飛び降り、船縁まで移動したルフィに、ゆっくりと歩いていたその人物が顔を上げる。
「サンジ。」
「よォ。」
「なんでお前ここの島にいんだ?」
「いちゃ悪ィか?おれは置物じゃねェ、捨てられた場所にずっといる義理なんかねェよ。」
別れた島から、すでに4の島を経過していた。だらりと下がった腕は、おそらく最早まともに動いていないのだろうと思わせるのに十分だった。
「何か美味いもんでもあるのか?この島。」
手すりの上でバランスをとって言われた言葉に、重いため息が返る。
「なんで留守番がテメェ一人なんだよ……ナミさんでも残っててくれりゃ───」
「来るか?」
「………。」
投げ出された言葉に、まるで目の前に食べ物を放り出された野生生物のように、油断無くルフィを見据えてサンジは言い返した。
「来るか、だと?」
「追いかけてきたんだろ?この船。」
「……あのとき、船を降りろっつったのは、テメェだ。」
「降りたのはサンジだろ。魚のレストランでオッサンに出てけって言われたときは出ていかねえって食いついてたくせに、おれに言われたら従うのか?」
「状況が違うだろうがよ。」
見上げた麦わら帽子に目を細めて、サンジはやや低めた声で訊いた。
「───なんで、『来い』じゃなく、『来るか』なんだ?」
「んん?」
「お前、『来い』って言ったら、おれが抗えねェとでも思ってるのか?」
「何言ってんだ。」
手すりの上に立ち上がって、ルフィは腕を組んでから言葉を次いだ。
「それじゃ『来るか』だったら来ねェことできるみたいだぞ?」
「いっぺん死ね!テメェ!」
悪魔が、と視線を逸らして吐き捨てるサンジを見下ろして、ルフィは唇の端をつり上げて笑った。
「行くんだろ、オールブルー。」
それを見上げ、仏頂面を無理に皮肉な笑いに歪めて、答が返る。
「ああ、テメェを敵に回してでも辿り着いてみせるぜ。」
助走をつけて甲板に飛び乗ってきたサンジに、ルフィは振り返って手を叩いた。
「サンジ、メシ。昼メシ!」
「あァ?!アホか、もう飾り同然だぞこの手はよ。」
以前よりわずかに骨張った印象のある手が、見せつけるようにぶらりと振られる。
「……前の五倍は時間かかんぞ。大人しく待ってろよ、船長。」
言い残してキッチンに向かった料理人に、船長は声を上げて笑った。
++++++
・・・・・ルフィが素敵!!サンジさんも素敵!!
かなりやられてます。重症です。
こちら書守様から頂きましたリク小説です。
「サンジさんがコックとして不能になったらルフィはどうするのか」といった感じでお願いしました。
我ながらすごい注文をしてしまったものだと今更慌てています。
どうしても書守様宅男前ルフィのその答えが聞きたくて!!
そして、形にして下さった書守様には嵐のようなチューを送りたい気分です。(え?いらない?そんな!!ガボーン!!)
私が書守様のHPでキリリクゲッターミス(?)を犯してしまったにもかかわらず、
うちのHP開設半年記念の形で無理矢理もらったような形になってしまいました。
初めて人様に頂いた小説です!!
感激しないはずがありません!!
ルフィとサンジさんの絶妙な駆け引きがたまりません。
オールキャラ気味なのも嬉しかったです〜vv
やはり書守様のルフィは男前で格好良いです。
実はこれ、誕生日前に頂いていたりしていたんですが・・・・。
二人きりの秘密という言葉にドッキンして独り占めしてニヤけていたという事実はなかったことにします。(おい)
書守様、ありがとうございました!!
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