唯称庵跡のカエデ林(広島県甲田町上甲立)

広島市内から国道54号線を約40km北上したところに位置する甲田町。
ここは戦国時代、宍戸氏によって五龍城が築かれるなど、交通の要衝として栄えてきました。

安政5年(1822)、安国安秀が京都から浄土宗の僧侶・本励上人を呼び寄せ、
五龍城の麓に庵を設けて『唯称庵』と命名し、住まわせました。
本励上人は17年間在庵し、土地の人の信仰を集めたといわれています。
その後、無人となった庵は腐朽し、昭和35年に解体されました。

また、本励上人は京都の高雄からカエデの苗を取り寄せ、
庵の周辺に植えたといわれ、この地の風土に適応して老樹になりました。
昭和53年には広島県の天然記念物に指定されています。


入り口付近です


中に入ると日中でも薄暗くなるくらいにカエデの樹が生い茂っています。
  

  




最近になって国道からの案内板や駐車場の整備がなされたようです。
来年からは来訪者が増えるかもしれません。

なお、このカエデ林は個人(地元の製薬会社)所有となっていますので、
訪れる際はマナーに気を付けてくださいね。