10月7日、ついに近所の廃工場内で3年前からコツコツと修復してきた紫電改(大日本帝国海軍局地戦闘機)が完成した。完成したら飛ばすほかないよね。初飛行は9日と決め、全国に散らばるモグリの飛行機マニアに連絡をとり応援を頼んだ。
親戚のおっちゃんが現場監督をしている山陽自動車道の工事現場を借りれる事になり滑走路の問題も難なく解決できた、あとは初飛行を待つのみである。
10月9日、深夜のうちから協力者達が続々と集結し始め 午前2時から作業を開始した。分解した紫電改をトラック2台に積みわけ いざ工事現場へ。一時間ほどで現場に到着、滑走路を確認すると直線で500メートルはあり その先は道路が切れてて下は森だった、しかし500メートルあれば素人の僕でも離陸できるだろう。
マニア達が手際よく組み立ててくれているので予定通り日の出と同時に飛び立てると思っていたものの、「塗装の剥げ方が気に食わん」とか「日の丸の位置が・・」とかで討論になってしまい組みあがったのは夕方だった。流石はマニア!色々と良く知っている模様、しかし飛ぶ事に意味があるんだから大目に見てよ・・・・・・・・
いよいよ初飛行だ!エンジンが古いので心配したが 当時より精度の良い燃料の影響か?スコブル快調のご様子。マニア達がチョークを外してくれたので 一気にスロットル全開、手を振る総勢31名の協力者達が瞬く間に後方へ消えていった。さんざんゲームでシュミレーションした離陸方法を思い出しながら操縦桿を慎重に手前に引いた、フワァッとした感覚があり地面を離れた事が確認できた あぁ飛べたよ〜
操縦は慣れれば意外と簡単だった。広島市上空を左旋回で眺めながら飛んだ、風防を開けポケットからカメラを取り出し記念撮影!がしかし不覚にも残り一枚だった。
上の画像がその時に撮影した写真の写し。逆光でイマイチの出来だが唯一の写真のため これで勘弁して下さい。
この撮影直後 レーダーを凌ぐといわれる僕の眼は はるか遠方に左上昇旋回中のF4J戦闘機2機を確認した。
岩国基地からスクランブル発進したに違いない、で 明らかにこちらへ来る模様。一瞬手持ちの20ミリ機関砲4門で対決しようかとも思ったが 僕は平和主義者だ お国の為に志願して勤務されているパイロット4名に危害を加える事などとうていできっこない、て言うか対決すれば落される事確実。
これは困った、何処かへ逃げないと無免許運転と銃刀法違反で捕まってしまう、だからマニアに銃は付けるなって言ったのに 何処から仕入れてきたんだ (ToT)
しかしここで問題発覚!飛ばすことに必死で着陸方法を学んでいない事に気が付いた、何か忘れていると思っていたんだよね・・・・・・・・・・・・・
仕方が無く機体を捨てる事に決めた、無線機で協力者に着地予定地点を知らせた後に機首を北方へ向け操縦桿に軽くキスをしてパラシュートで脱出。あぁ苦労して修復した紫電改が・・・・・・泣けてきた
無事にパラシュートでゴルフ場へ着地、急いでパラシュートを埋めて森の中へ身を隠した。1時間後マニア達が迎えに来てくれて家まで送ってくれた、マニア達の目には皆涙が、その涙は紫電改が飛んだ喜びか?紫電改を失った僕への怒りなのか解らなかった。
夜のニュースで確認したところ紫電改は日本海上空で燃料が切れた模様で静かに着水し ゆっくりと海中に消えていったらしい、魚達の良き住まいになることだろう。
翌日から公安・FBIになぜかライアン元二等兵までもがパイロットの捜索にのりだしたらしいのだが捕まる事はなかった、マニアの口は堅いのだ。