のぞみの会-講演会・勉強会
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勉強会 2002.10.27 尾道 & 2003.01.25 広島
「乳がんの治療」

資料提供 広島市民病院乳腺外科
桧垣 健二 先生

乳がんの術後治療:化学療法(抗がん剤)、ホルモン療法、抗体療法、放射線療法
1)化学療法:内服薬、注射薬の二種類がある。

  *1 内服薬:UFT、フルツロン、5FUなどを毎日内服する。(1-2年)
     副作用が少なく日本では実績がある。

  *2 注射薬:多剤併用療法。 以下のような組み合わせで使用される。
     CMF療法:エンドキサン+メソトレキセート+5FU (長年欧米での標準治療であった。)
     CEF療法:エンドキサン+エピルビシン+5FU
     CAF療法:エンドキサン+アドリアマイシン+5FU (脱毛、心毒性が強い。)
     AC療法:エンドキサン+アドリアマイシン (副作用が強い。)
     ACT療法:エンドキサン+アドリアマイシン+タキソール (タキソテール)
            (タキソールは再発進行乳癌に有効)
     副作用:白血球減少、脱毛、食欲不振、心毒性(アドリアマイシン)       

2)ホルモン療法:エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体が陽性の場合
   ●抗エストロゲン剤(ノルバデックス):エストロゲンによる乳癌の発育を抑える。
   ●ゾラデックス:閉経前の過剰なエストロゲンを抑える。月に一回皮下注射。
   ●アリミデックス:閉経後の脂肪組織などでのエストロゲン産生を抑える。
   ●プロゲステロン剤(ヒスロンH):他のホルモン剤が無効のとき。骨転移に有効。
   副作用:生理不順、更年期障害、血栓症、子宮体癌、脂肪肝。

3)抗体療法:ハーセプチン:乳癌組織の中のHER-2/neuという遺伝子産物に対する抗体         
   この遺伝子を持つ乳癌にのみ有効。再発転移がある患者に使用。
   心毒性が強い(アドリアマイシンとの併用禁止)。高価。

4)放射線療法:乳がんには有効。温存乳房に照射。
  生涯検診:乳癌は経過が長い。乳癌の再発をチェック(乳癌全体の3割が再発)
  再発部位:局所再発:手術した側の皮膚や皮下組織
  局所リンパ節:手術した側の腋や首のリンパ節
  遠隔転移:骨、肺、肝臓、遠隔リンパ節、胸膜、皮膚、脳、そのほか。
  再発時期:半数が術後2年以内に再発。2-5年に3割、5-10年に2割。10年以上は 1%。        
  検診間隔:最初の2年間は3ヶ月毎、10年後まで半年毎。
  検診項目:問診、視診、触診。腫瘍マーカー(癌の活動性をみる。)
       レントゲン検査:肺転移、胸水の有無のチェック。
       超音波(エコー)検査:乳腺、肝臓のチェック。
       CT検査:リンパ節、肺、肝臓など、全身をチェック。
       MRI検査:温存乳房のチェック、骨や脳への転移のチェック。
       骨シンチグラム:全身の骨のスクリーニング。

両側乳癌:独立した乳癌が左右別々にできる。術後何年たっても起こりうる。
      広島市民病院では全体の4%に発生。

重複癌:乳癌以外の癌もできやすい。広島市民病院では乳がん患者の7.8%に発生。    
    胃癌、子宮癌、結腸癌、肺癌、すい臓癌、卵巣癌、直腸癌、甲状腺癌、
    肝臓癌、食道癌、腎癌、膀胱癌、そのほかの順に多い。
    年に一度人間ドックを受けたほうがいい。


※参考資料
腫瘍マーカー 基準範囲
CEA(癌胎児性抗原) 5.0以下
CA15-3 27以下
乳汁中CEA 0.4以下
TPA(組織ポリペプチド抗原) 70以下
NCC-ST-439 7.0以下
BCA 225 60以下
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