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疥癬は歴史が古く戦後の日本では皮膚病といえば疥癬がその大半を占めるほど大流行していました。当時は殺虫剤のDDTが使用され、疥癬はほとんど撲滅されました。
しかし、1974年頃から海外旅行者が増加するにつれて疥癬が持ち込まれ、当時は若者のあいだで流行が見られました。その後、老人施設や病院などでの集団発生が問題となり、散発的流行を繰り返しています。疥癬を見逃して安易にステロイドを外用してしまうと、重症のノルウェイ疥癬患者をつくってしまったり、集団発生の元を作ってしまいます。老人の掻痒性の皮膚疾患をみたときには常に疥癬を忘れないことが重要です。また、各医療施設、老人施設などで連携して疥癬に対処すべきで地域全体の取り組みが重要と言えます。
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原因 |
ヒトヒゼンダニの感染。成虫は雌(0.4mm×0.3mm)、雄(0.2mm×0.15mm)。
皮膚角層内に寄生し、夜行性で夜間に交尾行動をし10~20個の卵を生む。
卵は3~4日で孵化し、14~17日で成虫となる。
交尾後、雄は角層上で死に、雌は4~5週で死ぬ。
人体を離れると短時間で死滅するが、温度12℃高湿度の環境では2週間生存する。
温度50℃の条件では約10分で死滅する。卵は乾燥状態でも1週間生存する。
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症状 |
1) |
皮膚の柔らかい部分(特に腋窩、下腹部、外陰部など)に小丘疹、小水疱が多発。
指間の小丘疹、小水疱は重要なポイントになるので必ず確認が必要である。夜間布団に入ってからの激しい掻痒が特徴なので何時痒いかという点もポイントになる。 |
2) |
疥癬結節:特に男性の陰のう部に小豆大の紅色小結節を生じる。 |
3) |
疥癬トンネル:交尾後雌は角層内にトンネルを作りその先端に卵を生む。
数mmから数cmの細い灰白色の線として認められる。 |
4) |
掻爬による湿疹化、アレルギー性反応:通常の湿疹と見間違えることがあるので、注意が必要である。 |
5) |
ノルウェイ疥癬:重症型。全身の著明な落屑、角質増殖、掻痒。紅皮症状態となる。
鏡検で多数の虫、体虫卵を検出する。集団発生の源となる。
免疫が低下した患者(老衰、癌末期、免疫抑制剤使用)ステロイド誤使用者に発生 |
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感染経路 |
直接接触感染 |
不潔性交、施設(病院、老人施設、寄宿舎など)での集団感染 |
間接接触感染 |
衣類、寝具、医療器具、介護用具など |
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診断 |
1) |
病歴(家族内発生、施設内発生の有無):疥癬を念頭において詳しく聞く。 |
2) |
顕微鏡検査:皮疹部の落屑からの虫体、虫卵、卵殻の検出。
(しかし100%の検出率ではない。むしろ低い。) |
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疥癬の治療 |
1) |
硫黄剤(ムトーハップ):入浴の場合:湯180リットルに対し13~17gの原液を入れる。
塗布法:原液を約5倍にうすめ幹部に塗布する。
湿布法:原液を約50倍にうすめ湿布する。
集団発生時は全員がムトーハップ浴をした方が良い。 |
2) |
クロタミトン(オイラックス)清拭または入浴後毎日首以下に外用。15~20g/日 |
3) |
安息香酸ベンジルローション(BBローション)(25%溶液)
入浴後刷毛または数本の綿棒で塗布する。首以下に外用。 |
4) |
ペルメスリン(エクスミン)、フェノトリン(スミスリン):殺ダニ効果が高い。
スミスリンはシラミの駆除剤としてパウダーとシャンプーが市販されている。 |
5) |
γ-BHC(リンデン):1%γ-BHC軟膏を首以下の全身に塗布し6時間後に洗い落とす。
20g/日 2回/月 |
6) |
イベルメクチン(メクチザン)(経口薬)
1~2回投与(200μg/kg) |
7) |
スミスリン軟膏 |
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環境整備 |
1) |
衣類、シーツ類:熱湯消毒(50℃以上、10分で死滅する)後洗濯する。
上着類等クリーニングの際にはビニール袋に入れ2週間放置後に出す。 |
2) |
布団:天日干し、布団乾燥機も有効。 |
3) |
ベッド、部屋:殺虫剤(エクスミンエアゾール)による燻蒸 |
4) |
ノルウェイ疥癬患者への対応:個室隔離。個室入り口での足ふきマット、サンダルの交換。ガウンテクニック。帽子、マスク、手袋の着用。 |
病 室 |
床は毎日掃除 逆性石鹸にて清拭
床頭台、ドアノブ、ストレッチャー、車椅子、ポータブルトイレ:逆性石鹸にて清拭 |
介護者 |
逆性石鹸にて手洗い ノルウェイ疥癬患者を収容した部屋は2週間使用禁止とする |
(2002年6月21日 文責 浜中和子) |
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疥癬の治療 |
1) |
硫黄剤(ムトーハップ):入浴の場合:湯180リットルに対し13~17gの原液を入れる。
塗布法:原液を約5倍にうすめ幹部に塗布する。
湿布法:原液を約50倍にうすめ湿布する。
集団発生時は全員がムトーハップ浴をした方が良い。 |
2) |
クロタミトン(オイラックス)清拭または入浴後毎日首以下に外用。15~20g/日 |
3) |
安息香酸ベンジルローション(BBローション)(25%溶液)
入浴後刷毛または数本の綿棒で塗布する。首以下に外用。 |
4) |
ペルメスリン(エクスミン)、フェノトリン(スミスリン):殺ダニ効果が高い。
スミスリンはシラミの駆除剤としてパウダーとシャンプーが市販されている。 |
5) |
γ-BHC(リンデン):1%γ-BHC軟膏を首以下の全身に塗布し6時間後に洗い落とす。
20g/日 2回/月 |
6) |
イベルメクチン(メクチザン)(経口薬):2002年中に発売予定。保険適応外。
1~2回投与(200μg/kg) |
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環境整備 |
1) |
衣類、シーツ類:熱湯消毒(50℃以上、10分で死滅する)後洗濯する。
上着類等クリーニングの際にはビニール袋に入れ2週間放置後に出す。 |
2) |
布団:天日干し、布団乾燥機も有効。 |
3) |
ベッド、部屋:殺虫剤(エクスミンエアゾール)による燻蒸 |
4) |
ノルウェイ疥癬患者への対応:
個室隔離。個室入り口での足ふきマット、サンダルの交換。ガウンテクニック。
帽子、マスク、手袋の着用。
病室:床は毎日掃除 逆性石鹸にて清拭
床頭台、ドアノブ、ストレッチャー、車椅子、ポータブルトイレ:逆性石鹸にて清拭
介護者:逆性石鹸にて手洗い
ノルウェイ疥癬患者を収容した部屋は2週間使用禁止とする。 |
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