■…2004年 6月 1日 (火).......いない
今までどのクラスになっても、大概一人ぐらいは物知り博士のようなお子様がいたものである。物知りの度合いは、「虫博士」だか「ことわざ博士」だかといろいろいたが・・・

うちのクラスのMくんはそんな中の一人だと思っていた。彼の興味は現在天文で、やれ彗星が来るとか月食を見るとか言ってるし、意見文を書かせりゃ、テーマに「地雷」を選ぶし・・・

しかし、彼は熱中すると周りが見えなくなるし、時間や片付けにルーズである。それで何度となく注意される。自分ひとりが遅くなる分には構わないが、そのあとの給食当番の用意まで長引く場合は別だ。

というわけで、はじめは穏やかに注意していた私も、

「ちょっと、Mくん! 『仏の顔も三度まで』って言うでしょ!」
と、少し声を荒げてみたらば、

「は?なんですか?それ?」

知っていると期待した私が悪かったわ・・・

No(266)


■…2004年 6月 2日 (水).......今やったばかり
今、総合的な学習は3本立てである。毎週AETがやってきて教えてくれる英語学習、6月22日に予定している社会見学のしおり作り、米作り。

今日は「英語学習」の日だった。

3時間目にAETとわいわい楽しくすごろくをして、See you!と挨拶して別れたあとに、Aくんが聞いた。

「先生、今日の総合、何やるん?」

「今やったじゃん」

力が抜けるぜ。

No(267)


■…2004年 6月 3日 (木).......理科のテストにて
問題1 種子にふくまれている栄養分をなんと言いますか?

答え でんぷん

問題2 その養分は、何に使われますか?

Mくんの答え  パンなど

正答 種子が発芽するための養分に使われる

テストを返したら、そこに×がついていたのを見たMくん。わたしのところにやってきた。

「先生、ここ(問題2)って、パン以外にとかも書かなくちゃいけなかったんですか?」

・・・いや、そうじゃないって(^_^;)まだ気がつかないとは笑える。
大体、もともと麦や稲は食べられるために生えてたわけじゃないんだし。

No(268)


■…2004年 6月 7日 (月).......何年生なんだ・・・?
Yくんの連絡帳に、「お昼薬を飲むようになりますので、飲むように言って下さい」と書いてあった。「はい、わかりました」と書いたが、実は忘れていた。

翌日、
「先生、昨日薬飲めって言ってくれんかったじゃろう。じゃけえ、飲むの忘れたじゃん」

「あ、ごめんね」

「母さんも、先生は言ってくれんの?って言ってたよ」

「あ、そう。で、今日も飲むの?」

「うん。今日も忘れたら先生のせいじゃけぇね」

「は?そんなら、忘れんように黒板に書いちょっちゃげようね。ほんなら、先生が忘れちょっても大丈夫じゃろ?」

「んにゃ、ちゃんと言ってよね」

「はぁ〜?書いてあるんじゃん。見れば分かるじゃん」

先生を頼るのもいい加減にしてほしいわ。挙句に自分も忘れてるくせに、私が忘れたのはいけんらしい。なんちゅうわがままなやつじゃ。

ま、さすがにここまでしたので、給食中に彼はちゃんと思い出したし、周りのお子様も声をかけてくれてましたけどね。

No(269)


■…2004年 6月 8日 (火).......何様なんだ?
小さい学校ってのはクラスのみんながお互いのことを知っている、という安心感からなのか、互いに遠慮がない気がする。
それはいいことなのかもしれないが、担任の私にさえ、そうなのだ。

家庭科では初めての裁縫。針に糸を通して、波縫いの練習。ところがY君は思ったように針がさせないまま何針か縫ってしまってどうにもならなくなった。

「先生、これ、どうにかして」

糸が一本取りなら、針を抜いて引っ張ればほどけるが、二本取りなんで難しい。
お子様の縫っている布地は手ぬぐい地だから、幸い引っ張れば針ごと抜ける。
そこで私が一生懸命抜いてやっているそばで、Yくんは、

「ま、頼むぞ」

殿様か、あんたは。

向こうでYさんが呼んでいる。

「先生、できん」

玉止めがうまくいかないらしい。

「針をここに置いて。針に糸をかけて。押さえて。針を抜いて」

ところが、うまくいかなかった。

「ほらぁ。できんじゃん」

「いや、もう一回やってみようよ」

「もういや!」

「っつっても、やらんにゃあ」

「いいの!はい、これやって」

それを聞いていた男子が、

「女王様じゃ」

殿様に女王様。偉そうなやつばっかりじゃのう。さしずめ私はけなげに働くシンデレラかしら?

No(270)


■…2004年 6月14日 (月).......田植え
今日は田植えだった。ものすごくいい天気で、田植え日和。
1枚の田んぼに、もち米とうるち米を植えるので、半分に区切って、それぞれが田植え綱を持って、植えていく。

もらった資料によると、隣の苗との間隔は15cm、次の苗との間隔も15cmと書いてあったので、その通りに綱を作っていった。
うるちのほうは去年のを使用。

植えていくと、なんだかどんどんうるちを植えているチームのほうが前へ行く。なんで?とよく見ると、苗と苗の間隔が20cm以上ある。綱の間隔が違うのだ。

それに気づいたもち米チームは不平たらたら。たくさん植えられる、ことよりも早く作業が終わりたい、ことのほうが強いみたい。

で、なんとか無事に田植えも終了。大人たちは週末の夜、打ち上げを行うのだ。今までは学校でささやかにそうめんなどを食べていたらしいが、今年は酒も飲みたい、ということで公民館を借りることに。

地域の方は、酒が飲めることには賛成だった。しかし、
「わしらーだけ飲んでから、子供らには何もないんかい?」
の一言で、お子様にもご褒美が振舞われることになった。

一口ゼリー一つ、キャンディー一つ、ジュース1本、が一人分。
あっというまに平らげるかと思いきや、小ぶりのサイダーが飲みきれないお子様が数人いた。しかも、炭酸でおなかが膨れたのか、
「おなかいっぱい。給食食べれん」
とか言い出すし。
こんなところでも小食ぶりを発揮しなくてもいいのに。

でも、今日の給食は焼きぞばにフルーツポンチだったから、誰も残しませんでしたけどね。

No(271)


■…2004年 6月15日 (火).......びわの種
今日の給食に「びわ」が出た。こんなびわも食べられない、とぬかすお子様(しかも男子ばっかり)にも一口ずつ食べさせたが。

いや、今日の話はそんなことではなく・・・

びわの種は大きい。Aくんがびわの種を持って帰りたい、というので許可したら、A君はほかの人の種までどんどんとり始めた。一度は口に入れて出された種であるが・・・

「人がなめちょうよ」
と女の子が言っても気にしないA君は豪儀なやつ。

それにしても20個ぐらいとっているので、取り過ぎでは?と思い聞いた。

「そんなに植えれるん?」

「植えるよ。果樹園にするんちゃ」

「そんなに広い土地があるん?」

「うん、ばーちゃんが『売りたいぐらい土地があまっちょるけぇ』って言ってた」
さすが農村地帯。

ばらばらするのでビニール袋をあげた。

・・・さて、昼休み。しばらくしてA君が教室に戻ってきた。なんだか楽しそう。びわの種の入ったビニール袋を手に持って、教室に残っていた私たちに話し出した。

「これねー、6年のAくんに、『今日、家庭科の調理実習で甘栗を作ったんちゃ』って出したらねー、A君、手を入れかけて、『何だ、びわの種じゃん』だって。ひっかりそうになったんよ」

大体調理実習で甘栗なんかつくるか?

しかし、昼休みが終わった後、戻ってきたA君の手には破れた空のビニール袋しかなかったよ・・・

果樹園計画、終了・・・・

No(272)


■…2004年 6月17日 (木).......らぶらぶ
クラスが25人なので、給食の食べ方は、バリエーションがある。今日は全員で輪になって食べる日だ。

日頃はよそに比べて男女の仲がよいクラスであるが、適当に机を並べていくと、男子がずらーと並んでいるところと、女子がずらーと並ぶ感じになった。しかし、そのつなぎ目のところだけ微妙に男女が混じって並んでいる。

私もお子様に混じって食べていたのだが、ちょうど対角上が男女が混じったラインだった。となりで、Mちゃんが
「ほんとにK(男)とF(女)ってよくしゃべってるよねー。仲いいし」

まあ、確かにそんな感じだが、その人らの隣にいる男女もよくしゃべっているではないか。
「えー?でも、HくんとTさんだってよくしゃべってるじゃん」

「あの二人は両思いだから」

「え?ほんと?」

「うん。それでねー、K(さっきの男子)は、Mが好きなの」

「はー?」

「だって、言ってるもん」

そ、そんなにオープンなんですか??

No(273)


■…2004年 6月23日 (水).......社会見学にて
マツダの自動車工場の見学に行った。
一通り見て回った後、ビデオを見て、最後に説明役のお姉さんに質問。

「あの、マツダでいちばん人気のある車は何ですか?」

「みなさんはマツダの車は、何を知っていますか?」

「プリウス!!」

「(^_^;)えっと、それは、トヨタさんのですね」

「ええー?知らない・・・」

「(^_^;)そ、そうですか?」

・・・・スミマセン

一番人気はデミオだそうですよ。
ここの工場ではアクセラを作っているようですが、生産される車の80%は海外に輸出されちゃうそうで・・・


No(274)


■…2004年 6月24日 (木).......CMの効果
音楽鑑賞をした。曲はエルガー作曲「威風堂々」。
歯切れよく、勇ましい感じのA部分と、ゆったりした美しいメロディーのB部分が交互に流れる曲だ。

と言っても分かりにくいかもしれないけど、Bの部分はあの木梨さんが出ている中華料理の素のCMのBGMである。

感想を書かせた。

Tくんの感想
「Aの部分は、とにかくはげしい。Bの部分は、とにかくCMしか頭に浮かばない」

Aくんの感想
「Aの部分は強くてはくりょくがあった。Bの部分は、あのCMの家族の顔が頭にうかんだ」

・・・CMの効果って偉大だなあ・・・

No(275)


■…2004年 6月28日 (月).......世の中の半分・・・・
お魚の嫌いなTくん。フライだろうが煮物だろうが、鮭だろうが鯖だろうが、とにかくだめである。いつも給食の魚は半分〜1/4・・・

だれにでも嫌いなものはある。かくいう私もうに、牡蠣がだめである。
いつか誰かにそう言ったら、
「そんなもったいない!世の中の半分ぐらい損してるよ!」
といわれたことがある。

そんな中、今日の給食はシーフードスパ。前の学校のシーフードスパは魚介の入ったクリームソース仕立てだったが、ここのは魚介の入ったたらこスパ。
それを前にTくんは唸っている。

「今日は魚ないじゃん」

「いや、シーフードスパが・・・」

「え?嫌いなの?」

「海のものは大体・・・貝とかいかとかも・・・」

「魚介は何も食べれんの?」

「いや、たこ焼きは食べれる」

「じゃ、たこは大丈夫なん?たこの刺身とかは・・・?」

「だめ」

牡蠣どころじゃないじゃん!って言うことは、刺身も寿司もだめってことじゃん。おまけにこういうシーフード関係。

世の中の半分どころじゃないと思うね。2/3ぐらいは損してるんじゃないだろうか。

Tくんのお嫁さんになる人も大変だ。

No(276)


■…2004年 6月29日 (火).......プール
プールが始まって約2週間。4回やったのだけど、まだ一度も泳いでいないお子様がいる。
やれ、風邪気味だの、カード忘れた(これがないと泳げない)だの、水着を忘れただの言って見学している。
今日も6人も見学した。25人しかいないのに!

何なんだ一体、とちょっとむっとしていると、養護の先生から、
「今日見学している子に、プールのトイレの掃除をさせたいんじゃけど」
との申し出が。ナイスじゃん。楽をしようたってそうはいかないのさ。

しっかり掃除をしてもらいました。次回こそは、泳ごうよね、Tくん、Sくん、Yくん、Hくん。(また男子ばっかりじゃん)

No(277)


■…2004年 6月30日 (水).......守護霊のおかげ?
なんだか最近教室ではやたらと、「エクスペクト・パトローナス!」とか「ウィンガーディアム・レヴィオーサ!」とか、ハリポタの呪文が大流行である。

今日も席替えでくじ引きで決めるといったら、「エクスペクト・・・」とくじに向かってやりだした。

「何しよるん?」

「え?守護霊に守ってもらうんちゃ」

「何を?」

「いい席になりますように、って」

そう言っていたNくんは、一番後ろから一番前になってしまった。

「あーあ、だめじゃん。こんなに先生の前じゃ、落書きとかできんじゃん。後ろならできたのに」

「そんなことしてるから、ちゃんと勉強しなさいって、守護霊が前にしてくれたんじゃないの?」

No(278)