孤独者となる

元々行きたくないと思いながら行った学校で、よく三年間も頑張れたなと自分で思います。孤独の中で過ごした三年間。でも、わたしは胸を張って言えます。「N校に行ったこと、後悔してなんかないよ!」



数学が さっぱり駄目だ 情けない

  初めて思う 吾は落ちこぼれ

現文は やっぱり好きだ 発表は

  だれより早く 手を挙げている

活用の 上一、下二 分からない

  だけど好きだよ 古典文法

家庭科で 悪徳商方 習いけり

  身が引き締まる かからないぞと

プリントを 山ほどくれる 化学あり

  おかげでファイル いっぱいなのよ

リーディングは きーきー声の 先生だ

  だけどかわいい だから大好き

グラマーは 文法ばかり つまらない

  内容のある 文が読みたい

必死にて 我ら笑わせようとする

  保健の先生 けなげに思う

先生が 教えることを 放棄して

  出てった数学 恐怖数学

リコーダーも 声もギターも 美しい

  我が憧れの 音楽の師よ

集団で 行進をする みんなより

  少し遅れて きちゃっと歩く

ドア入る 人は沢山 あふれてる

 けれど聞こえぬ 「おはよう」の声

この孤独 心に刻みこむために

 普通高校 受けたんじゃない

今日もまた 螺旋階段 登りゆく

  孤独の中に 身を置くために

だんだんと 一人ぼっち 慣れていく

  そんな自分が ふと嫌になる

先生に 我の気持ちは 分からない

  信じる気持ち 忘れてしまう

「遠足に 友達と行け」と 言う担任

  わたしの気持ち 何も知らずに

ひたすらに 涙こらえて 返事する

  何も知らない 担任の声に

こんなにも 涙こらえて 悩むなら

  こんな高校 来なきゃよかった

表では すべて知ってる 顔をして

  我が心など 知らぬ担任

「友達」と いう言葉さえ 避けている

  どうせ我など 好かれはしない

もうだれも 信じられない 担任も

  人間すべて 我の敵なり

倫理にて 実存主義を 習いけり

  今のわたしと 重なる想い

「単独者」 キルケゴールの その言葉

  胸にしみこむ 今の我だと

絶望の 中で生きてた キルケゴール

  彼の気持ちが 身近に分かる

我はなぜ 螺旋階段 登りゆく

  朝の廊下で ふと立ち止まる

ボランティア 倫理のときに 習いけり

  我が母校だけ 「される立場」か

ボーリング 一人隅にて やっている

  盲学校と 何が変わった?

弁当を 一人っきりで 食べるとき

  クラスメートが 透明に見える

宿題の 答えが違う どうしよう

  有理化したら なんだ合ってる

ややこしい 生物の図を もらいけり

  いくら説明 聞いても分からず

先生の 話しがあまり 速すぎて

  英語のノート ああ、めちゃくちゃだ

きゃーきゃーと 声弾ませて 話す友

  我は独りで 詩を書いている

化学とは 数学なのか 計算が

  あまり多くて 頭が痛い

ホームルーム 部落差別を 取り上げた

  我の差別は 無視されている

音楽の 自習我には 友はいず

  一人ぼーっと 曲を聞くだけ

ややこしい 数学の式 分からない

  三角形が こんがらかって

プリントの 宿題忘れ うなだれる

  成績下がる それだけ怖い

グラマーの 自習、机に つっぷして

  10分ばかり 寝てしまったよ

本文を 写して直し そのうえに

  板書を写す ああ忙しい

友達が 内緒話しを していった

  こんなクラブは もうやめてやる

英検の 面接とても 緊張し

  面接官の 沈黙怖い

リーディングの 単語のテスト 意外にも

  すらすら書けて 少しびっくり

数学の 確認テスト めちゃくちゃだ

  これじゃ期末も ああ真っ暗だ

無視されて すぐに倒れる 我がいる

  あの青桐のようになりたい

ミシン踏み 必死に進む 他の人に

  追いつきたいと 気ばかり焦る

少しだけ バスケやらせて もらいけり

  「チェストパス」その 言葉がうれしい

弁当を 我の隣で 食べる友

  我のことなど 忘れたる友

母校には もう戻れない 今日もまた

  孤独あふれる 学校へ行く

「受験生」 つらい言葉を 耐えぬいて

  得たものはただ 孤独だけなり

「友達」と 呼べる人さえ いないまま

  2学期もまた 終わりゆきます

赤点を 取って母校へ 帰りたい

  孤独の中で ふとそう思う

アイマスク クラスメートに してみたい

  我の孤独を 少しでも知れ

グループの 隙間の中で 我一人

  孤独をまとい 歌歌うだけ

授業中 居眠りをした 吾を友は

  笑うだけ笑い また無視をする

笑うため 声かけてきた あの人は

  今の我には 見向きもしない

笑うだけ 笑っておいて 次の日の

  道に迷う吾は 見ぬふりの友

先生が 近くに居ると 声かける

  内申上げる 道具か我は

我はなぜ 人に生まれた 蟻にでも

  生まれて早く 死ねばよかった

死にたいと 思うわたしを 引きとめる

  死の恐怖、われは やはり死ねない

死の恐怖 分からなかった 幼い日

  あのとき死んで いればよかった

今のまま 孤独の中で 過ごすなら

  こんな高校 もうやめてやる

ポケベルの 話しで友は 盛りあがり

  ただ我の目が 憎らしくなる

水道の 茶色き水よ 我が心の

  色を映して くれているのか

気がつけば みな講堂へ 行っている

  我の体は 透明なのか

置きざりの 我に声かける 友がいて

  その優しさに 鳴きそうになる

声合わせ 校歌を歌い 確かめる

  吾はこの学校の 学生なりと

わたしには 持てないベルの 話題にて

  盛りあがる友 わたしは孤独

今日もまた 昼を一人で 食べている

  こんな学校 来たくなかった

あの歌の 歌詞と同じに 我もまた

  盲学校へ 「帰りたい帰れない」

「帰りたい 帰れない」そう 歌う歌

  我も母校に 同じ思いだ

孤独さえ 平凡になって きています

  我はとうとう 孤独者となる

いらいらを 母にぶつけて このごろは

  それでも押さえられずに一人

本投げて わっと泣きだしたくなって

  それでも泣けず 心は沈む

生物へ 一人で歩く われがいて

  友みな我の 敵に思える

友達と 好きなドラマの 話しにて

  無駄話する 孤独忘れて

我などは ただ透明な 存在で

  空気以上に 透明である

毎日が 平凡に行く 平凡に

  友達さえも できないままに

教室で わっと泣きだしたくなった

  我ここにいる だれか気づいて

平凡な 我をみな見ぬ ふりをする

  孤独な日々が 平凡となる

いつまでも 孤独な日々が 続きます

  もう孤独にも 慣れてしまった

グループの 隙間に生きる そしてただ

  机に向かい 悲しみ歌う

我はもう 空気以下なり 居なくても

  よき存在で ある悲しさよ

歌を読む 感受性すら 無くなった

  孤独の中に 沈みたるうち

友達を 何度ともなく 疑って

  そんな自分が 悪魔に見える

友達に 文久々に 書きました

  暇な授業の 最前列で

貴方とは もっと早く 出会いたかった

  三年生で できた友達

弁当を 初めて友と 食べました

  こんな幸せ 知らなかったよ

暖かな クラスメートも 先生も

  みんなわたしの 宝物です

いろいろと つらいこととか あったけど

  最高だった N高校

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