涙の前の 息苦しさよ
命とは 儚いものと 泣きながら
焼香をする 薄暗い部屋
人の死を 悲しむように 雨が降る
今日の葬式 みんなずぶぬれ
もう2度と あなたの声は 聞こえない
守れなかった 小さな命
先輩の 17年の この命
燃え尽きるなど だれが思うか
いつの日か しおれてしまう ことさえも
知っているのか 白き馬酔木は
夕立の 中でコオロギ 鳴いていた
小さな虫も 生きているんだ
独り言 「死にたい」とふと 口にする
命の重み 少し忘れて
いつまでも 治らぬ風邪に 陰のように
死の恐怖が 心をよぎる
「圧迫死」 その一言が 焼き付いて
恐怖を我に 投げかけている
死にたいと 心の隅で 思うとき
死の恐怖だけが わたしの支え
丈高い 草に混じって 細々と
咲くタンポポに 命感じる
酸は赤 アルカリは青 リトマス紙
赤と青とは 違うのですか?
映画見る 画面に顔を 近づけて
目を開いても ただ光だけ
光さえ 見えにくくなった いつの日か
闇が襲って 来るのだろうか
シバの実の 赤き色へと 染まる布
目を見開けど 見えぬ赤色
遊んでる 小さな子供 怒らせる
こともないのに 目が見えたなら
写真撮る ただ1枚の 紙切れに
わたしに理解できぬ思い出
ああ神よ わたしが何を したでしょう
なぜこんな目に なったのでしょう
霧という 言葉の意味が 分からない
イメージのない 虚ろな言葉
大きな目 曲がった口が なぜ悪い
白杖持てば 子供扱い
人込みの 中に子供の 声を聞く
「何か言われる」 心は凍る
全盲の わたしに星の 素晴らしさ
教えてくれた 百武彗星
彗星を 見つけ喜ぶ 家族見て
見えぬ星さえ 心に光る
今日もまた 母に彗星 見てもらう
我の心の 星見るために
絵を描いて 色を付けつつ ふと思う
色が見えたら どんなにいいか
遠くから CDを見て 選ぶ母
触ってみても 同じCD
はり絵する もしもこの目に 画用紙の
色が見えたら ふとそう思う
会いたいと いう気持ちさえ 吹き飛ばす
薬も効かぬ 痛みの悪魔
病院に いつまで行けば 治るのか
椅子に座りて 考えてみる
点滴の 跡にはられる バンソーコー
はがして終わる 今日の一日
大学の 病院と聞く そんなにも
重病なのか ふと考える
病院の 庭に集まる 鳩たちが
元気を出せと クークー鳴いた
特別な 臭いがあって 特別な
意味があるのか 大学病院
神様も キリスト様も 信じれず
きっと治ると 自分を信じる
鳩たちに いつもこうして 励まされ
病院に行く わたし単純
「点滴を やめて様子を 見てみよう」
先生の声 胸なでおろす
今日こそは 注射されると 覚悟する
椅子に座れば 覚悟はどこへ
病院の 臭いの中に 立っている
わたしは病気 心が重い
学校に 朝から行ける 幸せを
かみしめている 病院無い日
骨折を 幾度ともなく 繰り返す
そんな自分が 情けなくなる
血だらけの ハンカチ持ちて 脅えてる
かさぶたはもう ほおっておこう
夢にまで 病院がある そんな日が
いつまで続く 心は沈む
音目がけ 必死に走る そのときは
病気のことも 忘れられるか
三日間 病気のことを 忘れたい
薬を持って 修学旅行
病院の 先生転勤 「さよなら」が
言えないままに さよならをする
かりかりと 麻酔かけずに する治療
お願いだから 勘弁してよ
病院の 庭で必死に 生きる鳩
鳩に負けずに 今日も頑張る