大前博士


滑らかな感触の絵具で彩られた画面は、地中海アトモスフェアで満たされていた。


 コートダジュール。
 この世界有数の保養地の景観は、ため息がでるほど美しい。
 海辺の街に1年を通して陽光が降り注ぎ、空気は乾いて澄んでいる。
 風景を美しくする要素が凝縮された場所だ。
 過去の偉大な芸術家同様、画家・大前 博士はその気候や風土に魅せられ、テーマにこの地を選んでいる。
だが数多い風景を描く画家の中で特筆されるべきは、画面にモティーフの大気を持ち込む事のできる天性の色彩感覚とその技法であろう。
「色の透明感を画面に残したい」と語る彼は美しい色を濁す事なく画面に置く。
 色彩による奥行きの表現は言うに及ばず、経験による迷いの無い線と面によって生まれたそのマチエールは滑らかで、彼の心を通過したであろう風景を映す鏡面の様でもある。
 ここで我々は色本来の美しさに気付く。
 真の画家とは多方面でその創造性を開花させ、絵に帰結させる芸術家である。
「そろそろ立体でもはじめてみようかと思っている。」
 正しく大前芸術の、それであった。


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