Harry Potter's Room

HARRY POTTER and the Deathly Hallows


あらすじ

第1章 The Dark Lord Ascending - 暗黒卿の躍進 -

月が照らす狭い道上に、どこからともなく二人の男が数ヤード離れて現れた。数秒後二人は互いの胸に 杖を突きつけ、相手を認識した。それはスネイプとヤクスレイだった。二人は通りの終わりにある豪邸に 急いだ。
広間に入り、ドアを開けると長く華麗なテーブルにはすでにたくさんの人が静かに座っていた。暖炉の前 の席にヴォルデモートは座っていた。ヤクスレイはフェニックスの騎士団がハリーをどこか安全な場所に 移す計画が次の土曜日の夜だ、と告げた。しかし、スネイプはハリーが17歳になる前の30日までは 動かない、と反論した。魔法省と騎士団が防御を施した騎士団の誰かの家に移動するはずだと。
しかし、魔法省はデス・イーターたちによって陥落の計画が為されていた。まず手始めにピウス・ティックネス に支配の呪いをかけた。これによって魔法省が陥落すれば、他を征服することはたやすくなるだろう。
「私はハリー・ポッターを殺さなければならない。その前にお前たちの中から杖を借りねばならん」
だれも申し出る者はなかったので、ヴォルデモートはルシウスを指名し、彼の杖を取り上げた。

ヴォルデモートは純血の血統を大事にしていた。だからそれを汚す者を取り除くことを厭わなかった。
「セブルス、我々の客人がだれだか分かるかね?」
それは、ホグワーツでマグル学を教えていたチャリティ・バーベイジだった。彼女はスネイプに助けを 求めた。が、無駄だった。あらゆる方向から「アバダ・ケダブラ」の緑の光が彼女に向かって放たれ、 彼女は大きな音をたてながら倒れた。
「夕食だ、ナジーニ」

第2章 In Memoriam

ハリーは流血していた。寝室のドアを出たところに置いてあった紅茶のカップにけつまづいたのだった。 たぶんダドリーの仕業だ。しかし、プリヴェット通りは閑散としていた。風呂場の水道で指を洗いながら、 魔法が使えない日々があと4日もあるのか、といらいらしていた。
ハリーは午前中、自分の学校のトランクをすっかり空にするのに費やした。そんなことは6年前に初めて 荷物をつめて以来のことだった。懐かしいものやいらないものがいろいろ出てきた。トランクの底の方に 手を突っ込んだとき、右手の薬指に痛みを感じた。出してみると血がいっぱい出ていた。注意深く探してみると、 それは割れた鏡の破片だった。ハリーはすぐに分かった。亡くなったシリウスがくれたものだった。他に ないかと探してみたが、あとは粉々になっているものばかりだった。ハリーはそのかけらを調べてみたが、 自分の緑色の目しか映らなかった。

ハリーは出発に備えて、マグルの服と透明マント、薬調合キット、数冊の本、ハグリッドがくれたアルバム、 手紙の束、そして杖を古いリュックに詰めた。前ポケットには、忍びの地図と、RABのサインの入った ロケットを入れた。

それから積んであった新聞の中から、気になっていた記事を探した。1面に小さくマグル学を教えていた チャリティ・バーベイジの辞職の話が載っていたが、その記事は10ページ目だった。
「アルバス・ダンブルドアを偲んで」それはダンブルドアの同級生であるドウジが書いたものであり、 ダンブルドアの生い立ちや功績が書き連ねてあった。ハリーはダンブルドアのことをよく知っていると思っていたが、 これを読むと、ほとんど何も知らなかったことに気づいた。
今朝届いた日刊預言者新聞に目を通していると、リタ・スキーターがダンブルドアの隠された過去の謎について 書いた本「ダンブルドアの人生と嘘」を出版するという見出しが目に入った。急いでインタビューが載っているページを開いた。 そこにはドウジが書いていたのとは違う面で、つまり彼の輝かしい功績に隠された事柄や、彼の家族との 関係がおかしいものであったとか、ハリーとの密接な関係すらも怪しむリタの言葉が載せられ、すべては 本に書いてある、という話だった。
ハリーは腹を立てて、ベッドに座った。さっきの鏡の破片が飛んだ。彼はダンブルドアのこととリタが 中傷した嘘のことを思いながら鏡をのぞいた。明るい青い光がきらめいた。周りに青いものはなかった。 もう一度覗き込んだが、もう青いものは映らなかった。たぶん、ダンブルドアのことを思っていたから、 想像してしまったに違いない。確かなことは、もう、ダンブルドアの明るい青い眼は二度とハリーを 見つめることはないのだ。

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第3章 The Dursleys Departing

バーノンおじさんたちは出かける準備をしていたが、気が変わったと言い出した。ハリーの身が危険に さらされれば、血縁であるダーズリー一家も危険なのだ。それでも、ここの土地が高騰してきているのを もったいながったりなどして1日ごとに逃げる、やめる、ところころ決めかねているのだった。
「だが、わしの仕事はどうなるんだ?ダドリーの学校は?魔法使いがうようよしているようなところは ごめんだ・・・」
「分からないんですか?あいつらはあんたたちを拷問して、僕の両親みたいに殺してしまうんですよ?」
今ではディメンターも1000人以上いるかもしれないという話を聞いて、ダドリーは逃げたほうがいいと おじさんに持ちかけた。それで、とうとうおじさんは決心した。いよいよ出かけるというときになって、 ダドリーが聞いた。
「でも、あいつはどこに行くつもりなの?」
「お前とは関係ないところだよ」
それを聞いて、ヘスティアは怒り出した。
「あの人たちはあなたがどんなことをしてきたか知らないわけ?今どんなにあなたが危険にさらされていることとかも? 反ヴォルデモート運動の中心にいる特別な人だってことも?」
「ああ・・・知らないよ。あの人たちは僕のことを場所のムダだと思ってるんだ。でも、慣れてるけど・・・」
「俺はお前のこと場所のムダだとは思ってないぜ」
「え・・・ああ・・・ありがとう、ダドリー」
ペチュニアおばさんはそんなダドリーの様子を見て涙にくれた。さらにダドリーはハリーに手を差し出した。
「おいおい、ディメンターは君に違う人格でも吹き込んだのかい?」
「知らないよ。またな、ハリー」
そうして二人は握手を交わし、ダドリーは車に乗り込んだ。最後におばさんはハリーに何か言いたげだったが、 くるっと向きを変えて夫と息子の下へと走り去った。
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第4章 The Seven Potter

ハリーはダーズリー一家が去った後の家を見渡し、しばし感慨にふけった。すると、どこからか轟音がして、 ハグリッド、ハーマイオニー、ロンを始め、かなりの人数が迎えに来た。そんなにたくさんの人数が来るとは 思ってなかったのだが、作戦が変更になったらしい。ぞろぞろと13人が現れた。ハリーがまだ17歳になっていないので、 トレースの魔法がかけられている。それに、ダーズリー一家も去ってしまったこの家は、もう彼の家でもない。 ここを一歩でも出ると、母親が彼を守るためにかけてくれた魔法も消えてしまうのだ。騎士団のメンバーの いくつかの家に守りの魔法をかけてあるので、そこまでどうにかほうきか、ハグリッドのバイクか、テストラルに 乗って行くしかない。7組に分かれて、それぞれがハリーに化けて違う方向を目指せば、万が一デス・イーターに 会ってもごまかせるに違いない。出発の日にちも嘘の日を伝えているし。
その作戦を聞いたハリーは反対した。みんなを危険な目に合わせたくないからだ。しかし、マッドアイの話を 聞いてしぶしぶ賛成した。ムーディとマンダンガス、ウィーズリー氏とフレッド、ルーピンとジョージ、 ロンとトンクスがそれぞれほうきで、デラクーとビル、キングズリーとハーマイオニーがテストラルで、 ハグリッドとハリーがバイクに乗って出かけることになった。ハリーたちはトンクスの両親の家をめざす。 ハリーはそのバイクがシリウスのものであったことを知っていたのでうれしかったが、自分がサイドカーに 乗るとみんなより目線が低くなるのがいやだった。

しかし・・・・出発するや否やハリーたちは囲まれた。デス・イーターたちは容赦なく殺しの呪文をかけてくる。 呪文の応酬。だが、ハリーがエクスペリアームズの呪文をかけると、デス・イーターの一人が言った。
「こいつだ。こいつが本物だ!」
そう言うと、デス・イーターたちは消えた。振り切ったのか?と、突然額の傷が焼け付くように痛んだ。 そして二人のデス・イーターが殺しの呪文をかけてきた。危うくよけたとき、ハリーは見た。ヴォルデモートが 煙のように風に乗って飛んでいるのを。テストラルにもほうきにも乗らないで飛んでくる。彼の顔は闇の中に 白く浮かび、白い指が杖を振り上げた。もうだめだ・・・
傷の痛みにハリーが目を閉じると、ハリーの杖が勝手に動き出した。ハリーの手は強力な磁石に引き寄せられるように 動いた。そしてハリーはうっすらと開けた目の端で黄金の光がほとばしるのを見た。後ろで「セルウィン、杖だ、 お前の杖を寄こせ」という叫び声が聞こえた。不意にヴォルデモートがすぐそばに現れ、真横で呪文をかけようと した。
だが突然、ヴォルデモートは消えた。そしてハリーはハグリッドが地面に大の字に倒れているのを見た。ハリーは ぶつかるのをよけようとバイクのハンドルを強く引っ張った。しかし、耳を劈くような音とともに、泥沼に突っ込んだのだった。

第5章 Fallen Warrior

気がつくとハリーはクッションのようなものの上に寝かされていた。肋骨や右腕が燃えるように痛んだ。ハリーを心配そうに 見ている男はテッド・トンクスだった。ハグリッドは大丈夫とのことだった。テッド・トンクスはハリーたちが ひどい墜落を起こしたわけを聞き、ハリーは説明した。テッド・トンクスの話を聞いて、この家の周囲100ヤードには 防御呪文がかけられているので、デス・イーターやヴォルデモートも入ってこれなかったらしい。
そのうちに、ハグリッドが部屋に入ってきた。その顔は泥と血にまみれ、少し足も引きずっていたが、奇跡的に生きていた。 続いて入ってきた女を見てハリーは驚いてポケットに手を突っ込んだが、空だった。
「君の杖はここだよ。君のすぐそばに落ちてたんで、拾ったんだ。それで君が叫んだ相手はうちの妻だよ」
トンクス夫人はその姉妹のベラトリクスを思わせたからだったが、それほど似てはいなかった。夫人は娘のことを心配していたが、 他のみんながどうなったのかもハリーには分からないので、とにかく最終目的地である隠れ穴に着いてから知らせる、と話して ポート・キーで隠れ穴に向かった。

隠れ穴に着いたとき、ウィーズリー夫人はとても心配していた。ジニーの話によれば、ハリーたちよりも早くロンとトンクス、 ウィーズリー氏とフレッドが帰ってくる手はずになっていたのにだれも帰ってきてないからだった。しかし、その後、次々と帰ってきた。 ひどい怪我をした者もいて、みんな襲撃されたことを怪しく思っていた。だれかが作戦を漏らしたのだ。裏切り者がいるのか? ビルは父親の目をまっすぐ見て、言った。
「マッドアイが死んだ」
出発してすぐに、ビルたちとマッドアイたちは北へ向かったのだが、ヴォルデモートはマッドアイたちを追っていった。マンダンガスは パニックを起こして瞬間移動して消えてしまった。ヴォルデモートが放った呪文はマッドアイの顔面に命中し、ほうきから落下したのだ。 ヴォルデモートはハリーが最も熟練した人と組んでいると踏んだからマッドアイをまず狙ったのだった。

ルーピンとビルはマッドアイの遺体を捜しに出かけていった。ハリーはやりきれなかった。自分のせいでだれかが傷つくなんて・・・
額の傷があまりに痛むので、新鮮な空気を吸いに外に出た。急に痛みが頂点に達した。額に手をやり、目を閉じると声が聞こえてきた。
「他人の杖を使えば問題は解決すると言ったではないか!お前はこのヴォルデモートに嘘をついたな、オリバンダー」
石の床の上に横たわった老人が耐え難い苦痛に叫んでいる映像が心に浮かんだ。
「違います。きっと違う杖ならちゃんと作用すると信じてました」
「説明しろ、何が起こったのだ。ルシウスの杖はやられたぞ」
「わかりません・・・結びつきは・・・あなた方お二人の杖にだけ・・・存在するはずで・・・」
「嘘だ!」
ハーマイオニーとロンが迎えに来た。今見たことを話すと、ハーマイオニーはまだ続いているのかと驚いた。そして、魔法省がとうとうのっとられた と告げた。

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第6章 The Ghoul in Pajamas

ハリーの誕生日まではあと4日だった。その翌日はフラーとビルの結婚式だった。トレースの魔法が消えればホークラックス探しに出かけられる。 しかし、それは3人だけの秘密だ。例え学校を退学してもだ。しかし、学校を退学してまでやらなければならないこととは何なのか、ウィーズリー夫人 を始め大人たちは知りたがった。ウィーズリー夫人は結婚式までの間、その準備のためにハリーたち3人に次々と用事を言いつけ、3人が集まる時間を 作らないようにした。

ロンが自分の部屋の片づけを言いつけられた後、ハリーはロンの部屋に向かった。そこにはハーマイオニーもいた。マッド・アイの 遺体はまだ見つからない。もしかして生きているのか?などと話し合っていたが、ダンブルドアの死後、死がいっそう身近なものになって不安になっている ハーマイオニーはそんな話を聞くたびに涙を流しながらも、持っている本の仕分けをしていた。ハリーは二人を危険な目に合わせたくないので、ついてこなくて いいという話をしたかったのだが、二人は断固としてついていくと言い張った。自分たちがついていくのがばれないために、また、残していく家族を守るために どんな準備をしているかという話をした。

ロンが天井裏にハリーを連れて行くと、下水溝のようなにおいが充満していた。そこには隠れ穴に住み着いている グールがいたが、ロンのパジャマを着せられ、赤い髪をつけられ、いぼがいっぱいになっていた。グールはロンの身代わりなのだ。ロンが学校にこれないのは、 いぼ病にかかったということにするのだ。伝染力が強いので調べにきても近寄らないはずだ。ハーマイオニーはマグル生まれだから狙われるのを恐れて両親と どこかへ逃げた、ということにすればよい。
「本当に決めなくちゃならないことは、ここを出た後、どこに行くか、ってことね。ハリー、あなたがゴドリックの谷に行きたがってることは知ってるわ。 ホークラックスを探すのが先じゃないの?」
「どこにあるか、ってことが分かってれば賛成するよ」
ゴドリックの谷にハリーの両親の墓があるから、ということは行ってみたい理由の一部に過ぎない。うまくは言えないが、殺しの呪文から生きながらえた場所に、 答えがあるような気がするからだ。しかし、そこにはヴォルデモートが見張ってるかもしれない。

もしホークラックスを見つけたとして、どうやって破壊するのか?それは、ホークラックス自体が修復不可能なぐらいの破壊力があるものを使用すれば よいらしい。一つはバジリスクの牙。ダンブルドアはどうやって指輪を破壊したんだろう?そう思うとハリーはダンブルドアが生きていたときに、もっといろいろ 聞いておけばよかったと後悔した。

第7章 The Will of Albus Dumbledore

彼は薄青い夜明けの山道を歩いていた。下のほうに霧にかすみながら小さな町が見える。あそこに、この問題に答えられる男がいるのか・・・・?

ハリーはロンに起こされた。寝言を言っていたらしい。
「グレゴロビッチって言ってたぜ。ずっと。だれだよ、グレゴロビッチって?」
ハリーは前にその名前を聞いたことがあるような気がしたが、思い出せなかった。
「ヴォルデモートがそいつを探してるんだ。どこか外国だと思う」
それを聞いて、ロンもまだハリーがヴォルデモートの心とつながっているのを知って驚いた。

ハリーは17歳になった。トレースの魔法が解けたので、ハリーはロンの部屋で呪文を使いまくった。そのあとたくさんのプレゼントをもらった。ウィーズリー夫妻からは 小さな立方体の包みをもらった。中にはロンが17歳の誕生日にもらっていたのととてもよく似た時計が入っていた。成人になった魔法使いに時計を送るのがならわしとのことだった。 ハリーは言葉にできないいろんな意味をこめておばさんを抱きしめた。
夜の7時には招待客もみんな来て、ハリーの誕生日パーティーが始まろうとしていた。そこへ銀色のいたちの形をした光が、おじさんの声で、魔法省大臣がここへ来る、と告げた。 すると、ルーピンはここへはいられない、とトンクスの手を引いて消えてしまった。

スクリムジャーはハリーたち3人に個人的な話があるといって、隠れ穴の小さな部屋へ入っていった。スクリムジャーは一人ずつに話がしたかったのだが、3人一緒でないといやだと 言ったので、しぶしぶ話し始めた。ダンブルドアが遺言として3人に形見の品を残したと言うのだ。ロンには火消しライター、ハーマイオニーに「吟遊詩人ビードルのお話」という本を、そして ハリーにはスニッチを形見の品としてもらった。しかし、スクリムジャーは何人もいる生徒たちの中から3人にだけ、形見の品があるのはおかしい、なにか秘密が隠されているのでは、 と疑っていた。しかも、スニッチにはある秘密があった。しかし、ハリーがスニッチを手にとっても何も起こらなかった。そして、ハリーにはもう一つ、グリフィンドールの剣を譲ると 書いてあったと言うのだが、それは歴史的に貴重なものなので渡せないと言う。それに怒った3人とスクリムジャーとで揉め事が起きたが、様子を聞きつけて仲裁に入ったウィーズリー 夫妻のおかげでおさまり、スクリムジャーは帰っていった。それからやっとパーティーが始まった。

3人はどうしてダンブルドアがそれぞれの品を3人に残したのか、そのわけを考え始めた。ハリーは、そのスニッチを取ったときは手ではなく、飲み込みそうだったことを思い出し、 スニッチに唇を押し当ててみた。しかし、それは開かなかった。開かない代わりに文字が現れた。ダンブルドアの手書きの文字だ。「私はおしまいになるとき開く」
ハーマイオニーがもらった本は、魔法界の子供が必ず聞かされるという御伽噺の本だったが、マグル育ちのハーマイオニーが知るはずもなかった。結局何も分からなかったが、明日のためにも 寝過ごすわけには行かない。

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第8章 The Wedding

午後の3時には、果樹園の中に立てられた白い大テントの外にハリーたちは立っていた。しかし、ハリーはポリジュース薬を飲んで地方の村からやってきた赤い髪の少年に変身していた。 ウィーズリー家の「いとこのバーニー」として、ハリーをカモフラージュすることになっていた。そこで彼らは結婚式の来客の受付をしていた。ルーピンとトンクスがやってきた。
「アーサーが君は巻き毛の少年になってると聞いてね。昨日はすまなかったね。魔法省は今、人狼に対して厳しくてね。あそこにいたらまずいと思って」
そう言ってルーピンは微笑んだが、向きを変えると苦しそうな顔つきに変わったのでハリーは不思議に思ったが、客が多くて今はそれどころではなかった。

やがて、ビルとチャーリーがドレスローブに身を包み、大テントの前に立った。胸のボタンホールには白いバラをさしていた。ムッシュー・デラクーとフラーが通路を歩いてくる。 フラーはシンプルだが、銀色の光を放つような白いドレスを着ていた。
そうして式は進み、パーティーが始まった。楽しく話をしていると、空いている席にクラムが座ったので、ロンの顔色が変わった。しかし、クラムはしかめ面をしながら、聞いた。
「あの黄色い服を着た男はだれ?」
「ゼノフィリウス・ラブグッドだよ。友達の父さんだ。」
と答えるなり、ロンはハーマイオニーをダンスに誘って、席を立った。クラムは残ったハリーと話し始めた。しかし、彼はハリーだとはもちろん気づいていない。そして、クラムは言った。
「もしあいつがフラーの招待客じゃなかったら、今すぐにでもあいつとデュエルがしたいぐらいだ。あの汚らわしい胸のマーク。グリンデルワルド。あれはグリンデルワルドのマークなんだ。 グリンデルワルドは多くの人を殺してきた。例えば僕の祖父とか。でも、このマーク、すぐに分かったよ。グリンデルワルドがダームストラングの生徒だったとき、学校の壁にこのマークを彫ったんだ。 何年もその前を通ってきたんだ。見間違えるはずがない」
ハリーにはルナの父が闇の魔術師の支援者だったとは信じられなかった。それに彼の胸のマークを気に留めるものは他に誰もいなかった。もしかしたら、ゼノフィリウス自身、そのマークの 意味を知らないかもしれないし。変わったものが好きだから。そういう説明を聞きながらクラムはいらいらし始め、ローブから杖を出した。それを見て、ハリーは突然思い出した。
「グレゴロビッチは、君の杖を作った人だよね?今、どうしてるの?」
クラムは見知らぬ少年から、ファンにも語ったことのない自分の杖のことを聞かれて怪しんだが、話し出した。彼は数年前に退職しており、クラムは彼の最後の杖を買ったうちの一人らしい。 それを聞いてハリーは思った。グレゴロビッチはオリバンダーが知らない杖の秘密を知っているのだろうか?

ハリーはロンたちを探し始めたが、人が多くてなかなか見つからない。そうしているうちに、騎士団のメンバーであり、ダンブルドアの追悼記事を書いたエルフィアス・ドウジに会った。 ハリーは自分がハリーであることを明かして、ダンブルドアが昔、闇の魔術に傾倒していたのかどうか尋ねたが、ドウジは断固としてそんなことはないと言い張った。しかしハリーは信じきる ことができなかった。それを察したドウジはリタ・スキーターがいかにひどい女か言おうとした。そこへ、ミュリエルおばさんが割り込んできた。
「あら、リタ・スキーターは大好きよ。アルバスにはおもしろい噂があるんですってね」
それから、ダンブルドアの妹アリアナのことで口論になった。アリアナの謎の死の真相にダンブルドアの友人バチルダもかかわっていたことも分かったが、ハリーはどっちの話を信じれば いいのか分からなかった。どちらの話もどこかおかしかったからだ。その後、ハリーはバチルダもダンブルドアもゴドリックの谷に住んでいたと聞き、驚いた。この6年間、ダンブルドアは 一度だってそんなことを口にしたことはなかったからだ。そこへ、ハーマイオニーが戻ってきた。と同時に大きな銀色の光る山猫が飛んできた。キングズリー・シャックルボルトの守護霊だった。
「魔法省が陥落した。スクリムジャーは死んだ。やつらが来るぞ」

第9章 A Place to Hide

ハリーとハーマイオニーは杖を抜いてロンを探しに群集の中に飛び込んだ。何とかロンを見つけると、3人は隠れ穴から瞬間移動した。が、そこも人が大勢いた。トテナム・コート通りだった。 そこからただ歩いた。ハーマイオニーはただ頭にここが浮かんだから、と言ったが、魔法界にいるよりはマグル界にいたほうが安全だと思ったからだ。途中で、ハーマイオニーはハリーの透明マントを バッグから取り出し、ハリーにかぶっているように言った。しばらく歩くと、小さな24時間営業のカフェを見つけた。中にほとんど客はいなかった。後から男が二人入ってきた。一人は金髪でとても 大きな男だった。その二人がまったく同じ動作をするのが見え、ハリーも無意識にその動作を真似ると、三人とも、杖を抜いていた。それが何を意味するのかを見抜いたロンはハーマイオニーをわきに押しやった。 その男たちはデス・イーターだった。呪文の応酬の末、何とか二人を気絶させた。殺してしまうと、ここにハリーたちがいたという証拠になってしまうので、記憶をなくすことにし、めちゃくちゃになった店を直した。

しかし、どうしてハリーたちの居場所が分かったのだろうか。とにかく、身を隠す場所が必要だ。
「グリモールド・プレイス」はどうだろう、とハリーは提案した。
「馬鹿言わないでよ!スネイプは入ってこれるのよ!」
「ロンの父さんは彼用のまじないをかけている、って言ってたじゃないか。スネイプはデス・イーターの一人に過ぎないよ。もし、まだ僕にトレースの呪文がかけられているとしたら、どこに行っても、大勢のデス・イーターに 囲まれてしまうんだよ?」
ハーマイオニーは反論できなかった。3人は瞬間移動した。見慣れた建物が目の前にあった。中に入ってドアを閉めた。ハーマイオニーが、「だれかここにいたみたい」と言い出した。騎士団の本部だったんだからそういうことも あるだろう。進んでいくと、「セブルス・スネイプか?」とマッド・アイの声が闇の中に流れた。すると、3人とも舌を引っ張られる ような感じがして、話すのが困難になった。スネイプ用のおまじないの一つだ。応接間に入り、窓の外を確かめたが、人の気配はなかった。と、突然ハリーの額が電気ショックを受けたかのように痛んだ。ただ、あの人の怒りだけを感じたようだった。 ハーマイオニーは例のごとく、そのつながりは絶つべきだと言い出し、ハリーはむっとした。と突然今度はハーマイオニーが叫びだした。何事かと思ったら、銀色の光が窓から入り込み、いたちの姿をとった。ロンの父親の声で 「家族は無事だ。返事はするな。我々は監視されている」と告げた。ロンはほっとした。そうするうちにも、額の痛みは増し、ハリーは「トイレに行ってくる」と部屋を出た。

彼は苦痛の中で見た。たいまつの明かりだけの部屋の中で、金髪の大男が、叫び、もだえ苦しむのを。
「ロウル、もっとか?それともナジーニのえさにしてやろうか?ヴォルデモート卿は今回は許してやるか分からんよ・・・ハリーポッターが今回も逃げたと私を呼び戻したな?ドラコ、ロウルにもっと苦痛を味わわせてやりなさい・・・やれ、 さもないと私の怒りを思い知るぞ!」
薪が火の中から落ちてきた。火はついていた。その光は恐怖におびえた白い顔めがけて飛んだ。
ハリーが眼を開けると、冷たく黒い大理石の床の上に大の字になっていた。

第10章 Kreacher's Tale

ハリーは翌日、応接間の床の上の寝袋の中で朝早く目が覚めた。24時間前には大テントの前で結婚式の招待客を待っていたのに。これからどうなるんだろう?彼は横になって、ホークラックスのことを考えた。 ダンブルドアが残した厄介で複雑な使命のことを・・・ダンブルドア・・・
ハリーはゴドリックの谷のことを考えた。ダンブルドアが口にしたことのない、彼の家の墓のことを。どうしてダンブルドアは何も言わなかったんだろう?本当に僕のことを気にかけてくれていたのか? ハリーは起きて階段を上り、最上階まで行った。そこにドアは二つしかなく、片方にはシリウスと名札がかかっていた。ハリーは中に入った。中は広く、かつては立派だったに違いないたたずまいを見せていた。壁いっぱいに貼られたポスターや写真の 中から、4人のホグワーツ生が写っている写真を見つけた。例の4人だった。はがそうと思ったが、取れなかった。床を見渡すと、ここもだれかが探し回った気配があった。落ちている紙を拾って見てみると、ハリーの母親がシリウスに書いた お礼の手紙を見つけた。ハリーはその文字と、ハリーのことについて書かれている手紙を見て、母は本当に実在していたのだと実感することができ、喜んだ。その手紙の最後は「信じられないわ。ダンブルドアが、」で終わっていた。2枚目があるはずだと 部屋中探したが、見つからなかった。そこへハリーがいなくなったのかと驚いたハーマイオニーとロンが探しに来た。ハリーは見つけたものを見せた。ハーマイオニーたちが見て回った部屋はどこも、誰かが侵入した気配があったという。何を探しに きたのだろうか。「台所へ行きましょうよ。何か朝ごはんになるものをさがしましょ」
部屋を出て、もう一つのドアを見ると、丁寧な引っかき文字で注意書きが書いてあるのが眼に入った。「ハーマイオニー、RABがだれだかわかったと思う」ハリーたちはレグルスの部屋に入った。しかし、いくら探しても本物のロケットは見つからなかった。 「だけど、この家のどこかにあるはずなのよ」ハーマイオニーは言った。そして、クリーチャーの存在に思い至った。彼はよく物を盗んでは台所の棚に隠していた。3人は台所へ急いだ。,/P>

だが、そこにクリーチャーはいなかったし、集めていたものもなかった。ハーマイオニーとロンはがっかりしたが、ハリーはまだ終わりじゃない、とクリーチャーを呼び出した。クリーチャーはロケットのことを知っていたが、もうないという。 マンダンガスがブラック家のお宝と「レグルス様のロケット」を盗んだという。なぜ、「レグルスの」ロケットなのか。クリーチャーは語り始めた。その話はとても悲しいものだった。いまだにレグルスの命令が守れていないと嘆くクリーチャーに ハリーはマンダンガスを見つけてここにつれてくるように頼んだ。それがレグルスの命令を果たすことにつながると。そして、ハリーは持っていたレグルスの名前の入ったロケットをクリーチャーに手渡した。

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