Harry Potter's Room

HARRY POTTER and the Deathly Hallows


あらすじ2

第11章 The Bribe

クリーチャーなら数時間でマンダンガスを捕まえてくると思っていたが、3日たっても戻ってこなかった。ハリーはクリーチャーが一番戻ってきそうな場所、台所へ 向かった。階段の途中で、玄関のドアがノックされ、カチャリという金属音を立てるのを聞いた。ハリーは杖を構えたが、それはなんとルーピンだった。ルーピンは 話したいことがあるし、ハリーたちが隠れ穴から去った後の様子も聞きたいという。ルーピンはハリーたちがトテナムコート通りで襲われたと聞いてひどく驚いたが、 トレースの魔法ではないと断言したので、ハリーたちは安心した。結婚式の騒動の詳細を聞くと、死者は出なかったが、デス・イーターや魔法省の役人たちは、結構 ひどいことをしていた。しかも、ルーピンの持ってきた預言者新聞には、1面にハリーの写真がでかでかと載り、見出しには、「指名手配:ダンブルドアの死に対する 重要参考人 要事情聴取」と出ていた。さらに魔法省はマグル生まれの魔法使いを登録制にしているという。魔法の力というものは人から人へ受け継がれるもので あるから、ただのマグルがその力を手に入れたのは盗んだか、無理やりに奪った、と考えられるという理屈で。さらにホグワーツにも規制が加えられていた。
そういった話をしたあと、ルーピンは一緒に行きたいと申し出た。ハリーはありがたいと思ったが、ルーピンに内緒にしながらこの使命が遂行できるのか不安だった。 ハーマイオニーは不思議そうに聞いた。「トンクスのことはどうするの?結婚したんでしょう?私たちと出かけたらどう思うかしら?」
「トンクスは安全だ。両親の家にいるからね」そう答えたルーピンの声はなぜか冷たかった。それからいやそうに「赤ちゃんが生まれるんだ」と言った。それなのに ハリーたちについていきたいという。それにはルーピンなりの苦悩があったからなのだが、ハリーには身勝手にしか思えなかった。
「こんなこと信じたくなかった。ディメンターと戦うことを教えてくれた人が・・・臆病者だったなんて!」
それを聞いたルーピンは杖を抜き、ハリーをふっ飛ばし、去っていった。ハーマイオニーたちはそこまで言わなくても、とハリーを非難したが、それでルーピンが トンクスの元へ戻ればそれもありだろうとハリーは答えた。

台所にはルーピンの残していった預言者新聞がまだ置いてあった。そこに、ダンブルドアの家族の写真が乗っているのを見つけて記事を見た。ちょうどアリアナが 生まれたころで、両親と弟アバフォースと写っているその写真は普通の幸せそうな家族写真だった。そこについていた見出しは、「近日出版予定 アルバス・ダンブルドアの伝記 より独占抜粋 リタ・スキーター著」と出ていた。そこには幼いころのアリアナのことが中心に書かれていた。ハリーはますます気分が悪くなった。ハーマイオニーや ロンと相談しようと思ったところへ、ボンっという音が台所中に響き渡った。「クリーチャーは盗人マンダンガス・フレッチャーをつれて戻りました、ご主人様」

ハリーはマンダンガスの鼻先に杖を突きつけて、聞いた。
「お前がこの家で価値のあるものを見つけては盗み出していたとき、台所の棚からもだいぶ取っただろう?あそこにはロケットがあった。あれをどうした?」
「ダイアゴン横丁で売ってたらよ、女が寄ってきて、魔法商品の売買の許可証を持ってるか、って聞いてきたんだ。おせっかい野郎め。罰金を払わせたがったんだけどよ、 ロケットが気に入ったみたいでよ、見逃してくれたんだ」
「その女はだれだ?」
「知らねえよ。魔法省の婆あだよ。ちっちゃくてよ、頭にリボンつけてたよ。カエルみたいだったね」

第12章 Magic is Might

ハリーは、外から盗んできた預言者新聞を手に台所へ向かった。そこは以前とはまったく違う場所になっていた。鍋やフライパンはぴかぴかに輝き、清潔な身なりをした クリーチャーがロケットを胸にかけてハリーを出迎えた。
新聞の見出しには、「セブルス・スネイプがホグワーツの校長に認定」と出ていた。ハーマイオニーはダンブルドアのいた校長室にスネイプが入るなんて、と激怒していた。 ハリーは、家の外にはいつも以上にデス・イーターが見張っていると言った。まるで自分たちが今にもトランクを持って、ホグワーツ特急に乗り込むのを待ち構えているかの ようだったと。
「ずっとそのこと考えてたんだ。もう6時間も前に出ちゃってるんだよな。変な気分じゃないか?あれに乗ってないなんて」とロンが言った。ハリーたちはいつものように ルナやジニーたちと座って、どうやってスネイプの体制を崩すか議論している様子を思い浮かべた。
ハーマイオニーはそれから、フィニーズ・ナイジェラスの肖像画をおろしてビーズのバッグの中に詰め込んだ。校長室にもあったこの肖像画を使って、スネイプがこの家の中を 探らせてくるだろうと思ったからだった。
「で、他に何かなかったの?」
「何も。魔法省の入り口を7時間も見張ってたけど、彼女の気配はなかったよ。だけど、ロンの父さんを見たよ。元気そうだった」
「父さんはいつも、魔法省の人はほとんどフルー・ネットワークを使って仕事に行くって言ってた。だから、アンブリッジを見かけないんだよ。あいつは絶対歩かないんだ。 自分がとっても重要な人物だと思ってるから」
ハリーたちはこの1ヶ月、魔法省に潜入する計画を立てていた。ハリーは明日実行しようと言い出した。アンブリッジの事務室は1階にあるはずだった。しかし、万端とは 言いがたい準備のためにハーマイオニーは不安だった。ハリーの額に痛みが走り、思わず手をやると、ハーマイオニーが疑わしそうに見ていたので、髪をはらう振りをした。 傷の痛みは増してきた。立ち上がって、トイレに向かった。

とある家に向かっていた。ドアを開けると、中に女がいた。グレゴロビッチについて尋ねたが、もういないという。彼は杖を振り上げた。緑の閃光が・・・

ハリーは床の上に倒れていた。ハリーは見たことを説明した。二人はどうしてヴォルデモートがグレゴロビッチを追っているのか不思議がった。特に、ハーマイオニーは やったのはハリーなのに、杖にこだわるのはおかしいと言い出した。しかし、ハリーもヴォルデモートも身に覚えがないのだから、真実を知りたいだけなのだ。

3人は眠れぬ夜を過ごし、翌日作戦を実行することにした。3人は魔法省に勤める人になりすまし、魔法省に潜入した。巨大な中央広間は以前ハリーが見たより陰気なものになっていた。 以前は黄金の泉が中央にあったのだが、今は巨大な黒い石の像がそこにあった。玉座に座った魔王使いと魔女が彫刻され、魔法省で働く人々を見下ろしていた。そして、像の 足元に「魔法は力なり」と刻まれていた。しかも、その玉座は老若男女を問わず、何百もの人間の彫刻の上に座していた。その人たちはマグルを表しているのだ。
途中でヤクスレイに出会った。彼はダンブルドアが死ぬところを目撃したデス・イーターの一人だったので、ハリーの胸は痛んだ。ヤクスレイはキャタモールに化けたロンに 雨漏りを直すよう頼んできたのだったが、キャタモールの妻は純血ではないことで告発されているらしい。とりあえず、ロンは雨漏りを直しに向かった。ハーマイオニーとハリーは 1階についた。リフトの前に4人の人が立っていた。一人はは巨大な黒と金のローブをまとった長髪の魔術師で、胸にクリップボードをかかえた短い髪にベルベットのリボンを つけたカエルのような魔女と話し込んでいた。

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第13章 The Muggle-Born Registration Commission

アンブリッジはハーマイオニーが化けているマファルダを見て喜んだ。そして、マファルダと一緒にリフトに乗り込み、地下の法廷へと降りていった。アンブリッジが話していた 相手は魔法省大臣だった。ランコーンに化けたハリーと一言二言話してから大臣は歩き去った。姿が見えなくなるとハリーは透明マントをかぶり、反対方向へと歩いた。歩いても歩いても 木製の同じようなドア、魔法省のその複雑さ、計り知れなさに、自分たちのたててきた計画がなんて子供じみていたかと言うことを思い知らされた。うろうろしながら、ふと廊下の角を 曲がると、少し広くなっていて、10人ばかりの魔法使いたちが1列に座って一斉に杖を振りながら何か作業をしていた。よく見ると、パンフレットを折っているようだった。ハリーは 積んである中から1枚抜き取ってみると、「穢れた血とその危険 純血社会を脅かすもの」と書かれていた。さらに驚いたことに、彼らのそばにあるマホガニーのドアには、見慣れた 青い眼、アラスター・ムーディーの眼がのぞき穴のようにはまっていた。ハリーは駆け寄ってみたが、もうその眼は動いてはいなかった。その下に、アンブリッジの名札がかかっていた。 彼女はマグル生まれ登録委員会の委員長だった。ちょっとした騒ぎを起こして、部屋の中に入って、ロケットを探したが見つからなかった。不意にダンブルドアがこちらを見ているのに 気づいて駆け寄ると、それはリタ・スキーターの書いた本だった。適当にめくると、1ページがまるまる写真になっているところがあった。10代の二人の少年が互いに肩を組んで笑い 合っていた。一人はダンブルドアだった。もう一人がだれかをチェックしようとしたところでドアが開いた。慌てて透明マントをかぶったが、見られたかもしれない。入ってきた チックネスはアンブリッジの机になにやらメモを残して出て行った。ハリーも部屋を出た。

リフトでロンと再会した。すぐ後でウィーズリー氏たちとも一緒になった。ロンがまた降りて行った後、嫌悪感をあらわにしてハリーを見るウィーズリー氏の言葉で、ランコーンと いう男がどんな仕事をしているか知った。ウィーズリー氏が降りて行った後、再び透明マントをかぶり、ハーマイオニーがどうしているか地下へ向かった。法廷のドアの外には ディメンターが群れていた。法廷の中でキャタモールの妻が呼ばれた。ハリーはこっそりとハーマイオニーの後ろへ回った。キャタモール夫人は杖を盗んだと言われていた。杖は魔法使いと 魔女だけを選ぶはずだから、とアンブリッジは言った。そしてハーマイオニーに書類を渡すように言い、手を伸ばしたときに胸にロケットがぶら下がっているのが見えた。アンブリッジは 自分の家に伝わる家宝だと言った。嘘だと見抜いたハリーはアンブリッジたちに気絶の呪文を放ち、キャタモール夫人とほかのマグル生まれたちを連れて逃げ出した。その後、ロンと再会したが、侵入者がいること がばれたという。出口は封鎖されつつあり、おまけに本物のレグとも遭遇し、混乱状態に。3人は手をつないでなんとか封鎖寸前の暖炉に飛び込んだ。一瞬、ハーマイオニーの手がすり 抜けた気がした。そして、グリモールド・プレイスのドアが見えたと思ったら、悲鳴と紫の光が走った。と突然ハーマイオニーの手が万力のように力強く握られ、何もかも真っ暗になった。

第14章 The Thief

ハリーは気がつくと、落ち葉や枝の上に横たわっていた。そばに何かが落ちていた。それはロンの脚だった。ロンのそばに近づくと、体の左側部分は血にまみれ、顔色は蒼白だった。 ロンは瞬間移動に失敗して、分離を起こしたらしい。ハーマイオニーは急いで手当てを行った。なんでこんなことになったのか、ハーマイオニーは説明した。そして、ハリーは知った。もう、 グリモールド・プレイスには戻れないことを。
ここはクィディッチ・ワールドカップが行われた会場だった。ここに数々の呪文を施し、テントを張ってしばらくとどまることにした。ロンもだいぶ落ち着いてきたとき、ロケットの ことを思い出した。ハーマイオニーは取り出してハリーに渡した。これを破壊する前に、開ける方法を見つけなくてはならない。いろいろやってみたがだめだった。ハリーは自分の首に ロケットをぶら下げておくことにした。

夜になり、外で見張りをしていたハリーは、再び傷が痛み出すのを感じた。いやなことばかり考えていると・・・
「それを寄こせ、グレゴロビッチ」
「持ってません。もう持ってないのです!何年も前に、盗まれたんです」
「ヴォルデモート卿に、嘘をつくな、グレゴロビッチ。彼は知っている・・・いつでも知っているのだ」
「盗んだのは誰だ、グレゴロビッチ」
「知りません。会ったこともない、若い男でした。・・・いやだ・・・やめてくれ・・・お願いだ!」
叫び声は続き、そして、緑の光が・・・・・

「夢だよ。夢まではコントロールできないじゃないか」
「そんなに疲れて眠っちゃうようじゃ、見張りを代わったほうがよさそうね」
ハーマイオニーは冷たく、頑なに言い張ったので、ハリーはテントに戻った。中でロンと見たことを話した。
「やつはグレゴロビッチの心を読んだんだ。それで僕は見たんだ。若い男が窓枠に足をかけて、グレゴロビッチに呪いをかけたんだ。それから見えなくなった。そいつが例のあの人が 追っている何かを盗んだんだ。それに・・・僕はそいつをどこかで見たような気がするんだ・・・」
「その泥棒が持っているものを見たのかい?」
「いや・・・何か小さい物に違いないんだ」
ヴォルデモートは何を見つけようとしているのだろう?

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第15章 The Goblin's Revenge

ハリーは翌日、透明マントをかぶって食べ物探しに町に出かけたが、急に冷気を感じ、空が暗くなった。それで結局何も見つけられずに帰ってきた。なぜだか、 守護霊が出せなかったのだ。ロンは空腹でいらいらしていた。ハーマイオニーは、もしかしたらロケットをずっと身につけていたせいではないかと言い、かわりばんこに 身に着けるようにした。いつもおいしい母親の料理をきちんと3度食べられていたロンは、食べ物がないと短気になった。しかも、食べ物がなくなるときはいつも決まって、 ロンがロケットを着ける番のときだった。「で、次はどこ?」がロンの口癖になった。ロンは自分では何のアイディアも出さず、二人が計画するのをだらだらと待っていた。

ハリーたちはあちこち移動した。ハリーの傷の痛みは続いていた。それはハリーがロケットを身につけているときによく起こった。痛そうにするのをみたロンはいつでも、 何が見えたか聞いた。ハリーの答えはいつも同じだった。グレゴロビッチから何かを盗んだ泥棒の顔だった。それを聞くたびにロンは落胆を隠さなかった。ロンが自分の家族や 他の騎士団のメンバーの様子を知りたがっているのは分かっているが、ハリーだってテレビアンテナではないのだ。
数週間が過ぎたころ、ハリーは二人がハリーがいないときに自分のことを話しているのではないかと疑い始めた。ロンはいらいらを隠そうともしないし、ハーマイオニーも この当てもない旅をしていることにがっかりしているのではないか。あるとき、ロンとハーマイオニーが口論を始めた。が、ハリーが間に入って言った。「黙って!誰かの声が聞こえる!」 誰か数人が険しく狭い坂道を下ってきているようだった。しかし、ハリーたちのテントを目指しているわけではないらしい。ハーマイオニーは拡声耳を取り出した。男の声が聞こえた。
そのうち、ハリーの聞いたこともない言葉が聞こえてきた。ゴブリンだった。どうやら逃げている間に人間とゴブリンが出会って一緒になったらしい。
「テッド、聞いたかい?ホグワーツでスネイプの部屋からグリフィンドールの剣を盗もうとした子供がいたんだってさ」
「聞いてないよ。新聞には載ってなかっただろ?」
「このグリップフックから聞いたんだ。彼は銀行に勤めてるビル・ウィーズリーから聞いたらしいけど。剣を盗もうとした子供たちの一人はビルの妹だってさ」
「それで剣の安全を考えて、スネイプはグリンゴッツに保管することにしたんだってさ」
「それは偽物さ」とグリップフックが言った。「そう、複製だよ・・・とってもすばらしい複製さ、本当だよ・・・でもこれは魔法使い作だ。ゴブリン作の本物はグリンゴッツの金庫には ないんだ」
それから話はまだ続いていたが、やがて聞こえなくなり、ハリーたちは拡声耳を回収した。
「もしだれかが本物とすりかえたんなら、フィニーズ・ナイジェラスが見てたんじゃないかしら?」とハーマイオニーは提案し、フィニーズの絵を取り出した。
「ダンブルドアが剣を最後にケースから出したのはいつなの?」
「剣が最後にケースから出されたのは、ダンブルドアが指輪を破壊するのに使ったときだと思うよ」

本物はどこだ?とハーマイオニーとハリーが熱く語っているかたわらでロンはふっと出て行った。ハリーが心配すると、ロンは不満をぶちまけた。もっと事はスムーズに進むはずだと 思っていたのだ。ハリーはやるべきことを知っていると思っていたのだ。それがこんな逃亡者の生活がいつまでも続くなんて。
「じゃ、なんでここにいるんだよ。帰れよ!」ハリーは言った。
「君はどうするんだ?」ロンはハーマイオニーに聞いた。
「私?・・・私は・・・残るわ、ロン。ハリーと一緒に行くって言ったもの。手伝うって・・・」
「分かった。君は彼を選ぶんだね」
そうしてロンは瞬間移動して去って行った。

第16章 Godric's Hollow

翌日目覚めたハリーは昨晩のことが夢だったらいいのに、と思ったがロンはやっぱりいなかった。一度ハリーたちから離れてしまったら、守護呪文をかけている限りロンは二度と ハリーたちの居場所を見つけられないだろう。荷物をまとめて歩き出しても、木々の間に赤い髪の姿が見えないかとあちこち見渡しながら歩いたが、気配はなかった。
その後数日はロンのことを話題にしなかった。その代わり、ハーマイオニーはフィニーズ・ナイジェラスの絵を置くようになった。二度と来ないと宣言したにもかかわらず、数日おきに 現れた。そしてホグワーツでのニュースを聞いて楽しんでいた。スネイプはずいぶんと厳しい規制を強いているようだったが、一方でそれを破ろうとしている生徒たちの存在も あるようだ。ハリーはすぐにでもそれに加わりたいぐらいだった。しかし、彼は今や有害人物第1号であるし、賞金もかかっているのだった。

だんだん寒くなり、ハリーたちは南下した。クリスマスツリーも飾るころになったある夜、ハーマイオニーはダンブルドアからもらった本を読んでいた。そして、ハリーを呼んだ。 本のタイトルのところに、三角の眼のようなマークが書き込まれていた。グリンデルワルドのマーク。でも、なぜ子供の御伽噺の本にそんなものが?
「ハーマイオニー、ずっと考えてたんだけど・・・ゴドリックの谷に行ってみたいんだ」
「そうね。わたしもそう思ってたわ。本当は行くべきだって。危険だとは思うけど、ゴドリックの谷のことを考えれば考えるほど、そこにあるはずって思うもの」
「ええっと・・そこに「何が」あるって?」
「剣よ、ハリー!ダンブルドアはあなたがそこに戻りたいって思ってたに違いないし、それにね、ゴドリックの谷はゴドリック・グリフィンドールの生地だし」
ハリーはそれを知らなくて驚いた。ハーマイオニーは「魔法の歴史」に書いてあるといってその部分を読んだ。ハリーはその著者が今もゴドリックの谷に住んでいることを思い出して ハーマイオニーに伝えた。今度はハーマイオニーが驚いた。
「もしかして、ダンブルドアがバチルダに剣を渡してるんじゃないかしら?」

ハリーたちはポリジュース薬を飲んで、マグルに化け、透明マントをかぶって瞬間移動した。そこは一面に雪が積もり、星が瞬き始めていた。小さな教会で歌が始まった。 今日はクリスマス・イヴだった。教会の裏に墓地があった。そこにダンブルドアの母と妹の墓があった。本当にダンブルドア一家はここに住んでいたのだ。さらに歩きながらポッター家の 墓を探していると、非常に古い墓石があって、名前は読み取りにくかったが、本で見つけたマークが記されていたのが分かった。その後、今度こそ本当に両親の墓を見つけた。 ダンブルドアのと同じ白い大理石の墓だった。こんなに近くにいるのに、彼らはいない。両親の犠牲のおかげで今も自分が生きている。それを考えるといたたまれなくなって、 ハリーたちは墓地を後にした。

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第17章 Bathilda's Secret

墓を出たところで、ハーマイオニーが誰かがいる、と言い出し二人は駆け出した。途中で透明マントをかぶって住宅街から抜けようとしたが、一軒の家の前で足を止めた。 そこは、ハリーの生まれた家だった。16年の間につたなどが生い茂っていたが、右側の屋根部分が吹き飛んだままだった。
「どうして、建て直したりしないのかしら?」
「闇の魔術の傷だから、建て直せないんだと思うよ」
と、向こうのほうから人影が現れた。ゆっくりゆっくり近づいてきて、二人から数ヤード離れたところで立ち止まった。こんな寒い夜中に廃墟になった家を見に来るのはおかしい。 ハリーは、この女は自分たちがここに来るのを知っていたのではないかという奇妙な感覚に襲われた。すると、女は手袋をした手を上げ、おいでおいでをした。見えてるはずは ないのに。いろいろ考えた末に、ハリーは声をかけた。
「あなたはバチルダ?」
女はうなずき、再びおいでおいでをした。ハリーたちは意を決して一歩前へ出ると、女はくるりと向きを変えて歩き出し、とある一軒の家へと入っていった。

よく見るとバチルダはとても小さく、ハリーの胸ぐらいまでしかなく、非常に年をとっていた。しかし、ハーマイオニーはなんだか落ち着かなかった。
バチルダは隣の部屋へ移動した。ハリーが入っていくと彼女はろうそくに火をつけようとしていたがうまくいかないのでハリーが手伝った。その部屋は腐敗臭が漂い、ひどく 荒れ果てていた。壁にたくさんの写真の額が飾られていたが、埃まみれだったのでテルゲオの呪文できれいにすると、大半の写真はなくなっていた。そして、彼女のちょうど 後ろあたりに、金髪の陽気な顔の泥棒の写真があった。それはリタの本で見たダンブルドアと一緒に写っていた少年だと思い出した。そこでバチルダに聞いてみたが、何も 答えなかった。その代わり、彼女はハリーを指差し、それから天井を指差した。
「わかった。2階へ来てほしいんだね?」
「分かったわ、行きましょう」
ところが、バチルダはハーマイオニーが動くと首を振った。ハリーだけに来てほしいらしい。それで、ハリーだけが2階へ上がっていった。すると、バチルダは・・・
そしてハリーの額は痛み出し、ヴォルデモートが飛んでくるイメージを見た

傷の痛みは頂点に達し、傷口から裂けてしまったように感じた。そこにヴォルデモートがいた。彼の叫びはヴォルデモートの叫びだった。自分は死んだのか?それなら なぜこんなにも痛いのだろう?・・・・そんな感覚の中でハリーは両親の最期の様子を鮮明に見た。

ハーマイオニーが懸命にハリーを呼んでいた。ハリーは気がついた。
「僕たちはゴドリックの谷に来るべきじゃなかったんだ。僕のミスだ。全部僕のミスだ。ハーマイオニー、すまない」
「あなたのせいじゃないわ。私も来たかったんですもの。本当にダンブルドアがここに剣を残していると思っていたのよ」
ハーマイオニーを休ませようと思い、ハリーは自分の杖を探した。が、見当たらなかった。ハーマイオニーに聞いてみると、みるみるハーマイオニーの眼に涙がたまった。 ハーマイオニーが差し出した杖は、二つに折れていた。フェニックスの羽一本でその二つはつながっていた。ハリーは直してくれとハーマイオニーに頼んだが、ムダだった。
「ロンのときのこと、覚えてる?車にぶつかって、杖が壊れたでしょう?あれも元には戻らなかったわ。新しいのを買わなきゃいけなかったでしょ?」
「じゃ、僕が見張りに立つときは君の杖を貸して」

第18章 The Life and Lies of Albus Dubledore

ハリーは杖を失ってしまった悲しみを感じていた。そして、ダンブルドアに対する怒りがわいてきた。ゴドリックの谷に行けば、何か謎が解けると思っていたのに、何の 手がかりもなく、すべてが闇のままだった。剣もないし、今や杖もない。そこへハーマイオニーがやってきた。
「あの写真の男がだれか分かったわ。「アルバス・ダンブルドアの人生と嘘」の本を手に入れたの」
その本はバチルダの家の居間に置いてあったものだった。そして、その写真の男はダンブルドアの友人グリンデルワルドだと判明した。ハリーたちは、それに関するページを 探し、読み始めた。そこにはダンブルドアの母の死後、ダンブルドアがどのように過ごしたか、またバチルダの甥の息子であるグリンデルワルドとの出会いが書かれていた。 互いに天才的な魔術の持ち主だった二人はすぐに意気投合したが、2ヵ月後に別れ、あの伝説のデュエルまで再び会うことはなかった。その突然の別れには、アリアナの死が かかわっていたという。アリアナが死んだとき、グリンデルワルドもその家にいたのだ。そして、アルバスもアバフォースも。アバフォースはアルバスを責めた。そしてアリアナの 死因は謎のままだった。

読み終わってハリーはダンブルドアに対する信頼が崩れ去るのを感じた。これ以上彼は何を失うのだろう?ロン、ダンブルドア、フェニックスの杖・・・
「確かに、グリンデルワルドに力を与えるようなアイディアを出したのはダンブルドアだったかもしれないけど・・・二人とも若かったのよ」
「「若かった」っていうけど、今の僕らと同じ年だよ。僕らが闇の魔術から逃れようと危険を冒しているときに、ダンブルドアは新しい親友とマグルを支配しようとする計画を 立ててたんだ」
「でも、変わったのよ!ダンブルドアはグリンデルワルドを抑えた人よ。いつでもマグルを守って例のあの人を倒そうとしてきた人よ!」
しかし、ハリーは何よりダンブルドアがそうしたことを何一つ語ってくれなかったことに怒っているのだった。

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第19章 The Silver Doe

雪が降り積もる中、ハリーたちはまた別の場所へと移動した。凍えそうな寒さの中で見張りをしていたハリーは、明るい銀色の光が木々の間に漂っているのを見た。ハリーは 飛び上がって、ハーマイオニーの杖を構えた。すると、銀の光が樫の木の間から出てきた。それは銀色の雌鹿だった。雌鹿はハリーをやさしく見つめた。そして振り返ると歩き 去っていった。ハリーはついていこうか迷った。罠かもしれない。しかし、本能的にこれは闇の魔術じゃないと感じ、ついていくことにした。
ついに雌鹿は立ち止まった。そしてもう一度ハリーの方を振り向いてから、走り出し、ハリーが何か言いかけようとすると、消えた。闇がハリーを包み、恐怖を感じた。ハリーは 杖に光をともし、歩き始めた。幸い、何も彼を襲ってこなかった。何かが光ったので、杖を向けるとそれは小さな凍った池だった。表面の氷は少し割れていて、黒く光っていた。 ハリーはちょっと興味を引かれて、そこから覗いてみた。底の方に何かが光っていた。大きな銀色の十字架だ。ハリーはどきどきしながら、割れ目の際まで行って覗き込んだ。 赤いものがきらめいた・・・それは柄にルビーをはめ込んだ剣だった・・・グリフィンドールの剣が凍った池のそこに横たわっていた。
どうすればいい?アッシオの呪文で剣を呼んだがだめだった。ハリーはダンブルドアとの会話を思い出した。「本物のグリフィンドールだけがそれを帽子から引き出すことが出来る」 ハリーはどうすればよいか分かった。ハリーはどんなに水が冷たいか、どれだけ凍える思いをするかということを考えずに飛び込んだ。

「気でも・・・・狂ったのか?」
そこにロンがいた。服はびしょびしょにぬれ、髪の毛をぺったりと顔にくっつけ、片手にグリフィンドールの剣を、片手に鎖のちぎれたホークラックスを持って立っていた。
「何だってまったく飛び込む前にこいつをはずしておかなかったんだよ?」
ハリーは答えられなかった。信じられなかった。
「本当にき、君か?」
「そうだよ」
「あ、あの鹿を出したのも君?」
「何?いや、もちろん違うさ!君がやってるんだと思ったよ」
「僕の守護霊は牡鹿じゃないか」
「ああそうか。なんか違うと思ったんだよな。角がなかったよ」
「なんでここへ来たんだよ?」
「ん?僕は・・・・その・・戻ってきたんだ。もし・・・そうだな・・・君がまだ僕を必要としてるからだよ」
確かにロンはたった今ハリーの命を救ったのだ。それにしてもどうやってロンはここが分かったんだろう?ロンは説明した。
「この剣は本物かな?」
「それが分かる方法が一つあるだろ?」
ホークラックスはまだロンの手の中で揺れていた。ロンがハリーに剣を渡そうとすると、ハリーは首を振った。
「君が池の底から取り出したんだ。君がやるべきだと思うんだ」
しかし、ダンブルドアの教えを思い出した。ある種の魔法は計り知れないパワーと予測できない動きをとることがあることを。そこでハリーががホークラックスを開け、中身をロンが 突き刺すことにした。すると・・・・

第20章 Xenophilius Lovegood

ロンが戻ってきたことを知ったハーマイオニーは一晩中怒っていた。が、ロケットを破壊した今、他のホークラックスのありかについて話し合うようになった。前にもこのような ことはあったが、ハリーは今では少し先が見えてきたような気がしていた。不思議な銀の雌鹿の出現や、グリフィンドールの剣の奪取、ロンとの再会などがハリーの心を軽くしていた からだ。
ロンは二人と別れてから、森でハリーに出会うまでの話をした。その間に聞いた話として、例のあの人の名前を言うと、ある種の魔法障害が出来、保護呪文が破られてその名前を 言った人の居場所が分かると言う。だから、ハリーたちがトテナム・コート通りにいたのが分かったのだと。そして、万が一のためにと予備の杖、サンザシでできた杖をせしめてきて いたので杖が壊れえしまったハリーに渡した。それから、ロンはラジオを出して、周波数を合わせようとした。そこで 放送しているニュースは魔法省が隠蔽し、ごまかしているものではなく、すべて真実ばかりだが、毎晩周波数を変えるし、パスワードも必要なのだと言う。と、突然ハーマイオニーが二人に言った。
「ゼノフィリウス・ラブグッドに会いたいの。このマーク、「吟遊詩人ビードルのお話」に書かれているこのマークよ。グリンデルワルドのマークって言ってたけど、ゴドリックの 谷にあった古いお墓にもあったわ。グリンデルワルドが生まれるずっと前からあの墓石はあったわ。もうダンブルドアには聞けないし、グリンデルワルドが生きているかどうかも 分からないけど、ラブグッドには聞けるわ。結婚式のときにこれを身に着けていたし。これって大事なことだと思わない、ハリー?」
ハリーはゴドリックの谷の二の舞になるのではと恐れたが、二人の熱意に押されて出かけることにした。

3人はゼノフィリウスの家にやってきた。ドアがばたんと開き、ゼノフィリウスが戸口に立っていた。
「何だ?何事だ?お前たちは誰だ?何が望みだ?」
ゼノフィリウスはまず、ハーマイオニーを見て、それからロンを、最後にハリーを見ると、口がまんまるに開いた。ハリーは聞きたいことがあると切り出すと、ゼノフィリウスは 口ごもりながら、役に立てるかどうか分からないと答えたが、家の中に入れてくれた。
ハーマイオニーは家の中に危険動物であるエランペントの角があるのに驚いて、ゼノフィリウスに伝えたが、彼はおとなしいしわ角のスノーカックの角だからだいじょうぶだと 取り合わなかった。ルナは小川に魚釣りに出かけているらしい。ゼノフィリウスがお茶を持って部屋に入ってきたとき、3人は美しい石の胸像を見ていた。それはロウェナ・ レイブンクローをモデルにした像だという。
「それで、聞きたいこととは何かね?」
「ええ、ビルとフラーの結婚式のときに首につけていたマークのことなんです。あれには、どんな意味があるのかな、と思って」
ゼノフィリウスは、ぴくりと眉を上げた。
「死の秘宝の印のことを言っておるのかね?」

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