ホームステイの三日目に、出張に出かけていたパーパチカ(お父さん)が帰ってきた。僕は初めての
ロシアや、ホストファミリーとの生活から来る緊張と興奮のなかで過ごすうちに、パーパチカの
存在をすっかり忘れてしまっていた!
僕がホームステイに来ることは、パーパチカにも前から分かっていたはずだけど、
主人のいない間に家にすっかりあがり込んでしまったようで、なんだか恐縮しながら少し
ぎこちない挨拶を交わした。
「ズドラーストビーチェ、オーチンプリヤトナ!」
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パーパチカの仕事は、自動車関係のメカニック。「今君が乗っている車はトヨタ?、ニッサン?、ホンダ?」
って英語で聞かれた。「マツダ」って答えると、「ああマツダか」と。あとで気付くのだが、ナホトカで
走っている車の1/3くらいは、日本の中古車。
面白いのは中古の商用車が多いことだ。”○○株式会社”とか、”××タクシー(個人)”
などの日本で走っていた時のペイントを残したままで、街を走っている。ロシアの人には
模様にしか見えないのだろう。
ちなみにマーマチカ(お母さん)の車も日本車の中古RVで、初代オーナーの施したと思われる
スキークラブのロゴがペイントしてあった。
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パーパチカは空手に興味があると聞いていたので、日本で空手の本を買って、お土産として持って行った。
もちろん日本語の本しかないので、出来るだけ写真が多く載っているものを選んだ。
パーパチカに「本の中の写真の下に何て書いてあるんだ?」と聞かれた。
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合気道ならすこしかじったことはあるんだけど、空手の経験のなかった僕は、本に書いてある言葉通りに、
もっともらしく動きをまじえ、アーニャに通訳してもらいながら
”なんちゃって空手”を指導してしまった。!!
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パーパチカは、寡黙でやさしい人。僕の持って行ったロシア語−日本語会話集の本を見ながら、一生懸命
僕に話掛けようとしてくれる。
タバコも酒もやらないので、僕のもっていたロシア男のイメージとはちょっと違う。
体がとてもがっちりしていている。若いときには海軍にいたらしい。
描かなかったけど両腕にはタトゥーがある。その頃入れたものだろうか。
やっぱり日本人的感覚で見てしまうので、最初は少し怖い人かと思った。
でもクリスマスには家族のためにツリーにする木を切ってくる優しい普通のお父さんでした。
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それからとてもおしゃれ。年越しのパーティの時には、真っ黒のシャツとゴールドのネックレスで
きめていた。このあたりが日本のオヤジとは違うんだよな。
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