シルクロード写真館 (カラコルム・ハイウェイ編)

ガーネットの原石拾い

 フンザの村を出てしばらく行くと、道に沿った崖の下にガーネットの原石が落ちています。ユーカリの木とアンズの木の緑に包まれながら拾うガーネットの原石は、加工されたものよりもっと大きな価値があるもののように思われます。

カルガの磨崖仏

 フンザから110km、古来、中国とインドを結んでいたこの道のほぼ中間にギルギットの町があります。ナンガー・バルバットやラカポシの美しい山懐に抱かれた、まさにオアシスといったところです。町の西約5kmのところにカルガの磨崖仏があります。7〜8世紀に作られたものとされています。岩肌に彫られた5mほどの施無畏印を結ぶ優美な仏の姿は、ここもかつては仏教の栄えた地だったことをうかがわせます。

インダス川とギルギット川の合流点

 ギルギットからチラスへ向かう途中に、インダス川(右)とギルギット川(左)の合流点があります。ここまで下ってくるとカラコルム山脈の峻険な岩肌もいくらか和らいだ景観に変わってきます。道に沿って走るインダス川は、セメントを溶かしたような灰色の水が滔々と流れています。

チラスの岩絵

 ギルギットから130km、チラス近郊のインダス川のそばの岩には、岩絵の宝庫といってよいほど仏教時代の仏像や仏塔が数えきれないほど描かれています。冬に雪で道を閉ざされた求法僧たちが、春を待つあいだに刻んだものでしょうか。

カラコルム・ハイウェイの終点

 チラスから245km、クンジュラブ峠からは645km、カラコルム・ハイウェイの終点タコットの村に入ると、緑豊かな農村風景が目に入ってきます。今まで走ってきた過酷なカラコルム山脈の道がむしろ懐かしくさえ思われるから不思議です。険しく危険な道を命懸けで辿った古代の人々も、この風景を見て改めて生きている喜びを強く感じ、仏への畏敬と感謝の念を強くしたことでしょう。
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