シルクロード写真館 (中央アジア編)
 中国新疆ウイグル自治区のタクラマカン沙漠の北には雄大な天山山脈が横たわっています。山脈の北側を走るシルクロードは、古来天山北路と呼ばれた草原の道です。そこは汗血馬と称された天馬の故郷であり、数多くの遊牧騎馬民族が勇躍したところでもありました。現在もその血を継ぐカザフ・キルギス・ウズベクなどの諸民族が国々を構成しています。その草原の道に沿って点在するフェルガナ・タシケント・サマルカンド・ブハラなどの諸都市には、今も往古を偲ぶ多くの史跡や建物が残されています。
 この中央アジアの自然と歴史の跡を,1995年6月に撮影した写真で紹介します。

冠雪を頂く天山山脈

 中国新疆ウイグル自治区の首都ウルムチの空港を飛び立つと,まもなく4000m以上の雪を頂く美しい天山山脈の大パノラマが眼下に展開します。唐代の玄奘三蔵(三蔵法師)は、天山山脈の北麓を西に延びる道を通ってインドへ向かいました。この天山の雪解け水が山麓に暮らす人々の生命の水となります。

緑に包まれたリンゴの町
(アルマティ・カザフスタン)

 アルマティはかつてカザフスタンの首都で、アルマトイと称していました。それよりさらに古い地名だったアルマ・アタはカザフ語で「リンゴの父」を意味します。天山山脈の支脈のアラ・トウ山脈がどこからでも眺められる美しい静かな町です。緑の木々のなかにあるのはロシア正教のゼンコフ教会です。

黄金人間
(アルマティ・カザフスタン)

 アルマティの南にあるイシク湖近くの遺跡から、古代遊牧騎馬民族の黄金製の衣服が出土しました。キルギス草原を舞台に活躍した若武者の葬衣と考えられています。現在はカザフ中央博物館に収められています。ズボンをはく風俗などイラン系民族のサカ族の社会・文化・芸術を知るうえで貴重な資料です。

ナヴァイ劇場
(タシケント・ウズベキスタン)

 ウズベキスタンの首都タシケント市内には、第二次世界大戦後に抑留されていた旧日本兵が強制労働で造った大理石の素晴らしい建築物があります。アリシャー・ナヴァイ・オペラ・バレイ劇場が正式な名称です。捕虜であっても誇りを持ってこの建物をりっぱに完成させた旧日本兵の意地が感じられます。

日本人墓地
(タシケント・ウズベキスタン)

 整備の行き届いた広い墓地内には、この地で亡くなった79人の御霊が眠っています。敷地に建てられた御影石の墓碑の表には、「私達の平和と友好 不戦の誓いの碑」、裏には「鎮魂」と書かれてあり、そして、この地に送られ、苛酷な強制重労働によって心ならずも他界された全員の名前が彫り込まれています。
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