シルクロード写真館 (シルクロードの山と湖編)
 シルクロードの旅の魅力には、多くの民族の興亡の歴史の跡やそこで育まれた文化の跡を訪れること、今も過酷な自然のなかでたくましく生きる人々の暮らしぶりに接することなど、あげればきりがありません。しかし、そうした旅を続けているなかで、ふと見上げる万年雪を抱いた山の峰や、目の前に広がる澄み渡った湖に遭遇したときの興奮も忘れることができません。それは群青の空の色や満天の星を眺めるときに味わう「シルクロードに来てよかった」ことを実感する至福のときでもあります。
 ここでは、1996年から2004年の旅のなかで撮影した、印象に残るシルクロードの山と湖を紹介します。

日月山(中国・青海省)

 青海省の省都西寧から青海湖へ行く途中、海抜3500mのところにある日月山の峠です。ここはかつて中国とチベットの境界でした。峠の上には、7世紀、唐の文成公主が政略結婚で吐蕃国(チベット)に嫁いでいくとき、父親である皇帝から贈られた日鏡・月鏡の2つの鏡をここで叩き割り、故郷の想いを絶ち切ったという伝説にちなむ日亭・月亭が建っています。(1996年6月)

青海湖(中国・青海省)

 青蔵高原の海抜3260mに位置する中国最大の塩水湖です。周囲が約36kmで、琵琶湖の約6倍あります。湖の名はモンゴル語でココノールといい、「青色の湖」を意味しています。湖には湟魚が棲んでいます。餌は大きい湟魚が小さい湟魚を食べて生きているそうです。太古の時代は海だったところで、とても湖とは思えない壮大な景色です。(1996年6月)

茶卡塩湖(中国・青海省)

 青海湖の西に8km、海抜3104mにある塩水湖です。塩の大生産地となっています。塩は天日によってできた天然塩で、それを採取するためトロッコが湖面を走っており、観光客もそれに乗って湖のなかに入っていくことができます。風は冷たいですが、北チベットの山が水面に映え、澄み渡った真っ青な空がなんとも言えません。(1996年6月)

アルティン山脈(中国・青海省)

 アルティン山脈は崑崙山脈の支脈で、甘粛省・青海省・新疆ウイグル自治区の境界を形成しています。遠目には穏やかな山並みで、穏やかな高原状の草原が見られますが、奥地に入ると岩肌あらわな断崖絶壁もある変化に富んだ山脈です。水辺の草原にはたくさんの羊が放牧されていて、のどかに草を喰んだり、戯れたりしています。(2004年6月)

ヤムドゥク湖
(中国・チベット自治区)


 チベットの首都ラサから南に約16km行ったカンパ峠(4749m)の眼下に広がる湖です。「トルコ石の湖」と称賛されるチベット四大聖湖の一つで、明治時代に日本人で初めてチベットに足を踏み入れた求法僧の河口慧海も著書『チベット旅行記』のなかで、その湖の美しさと神々しさに感嘆しています。天気や時間により湖の色が変化していきます。(2001年9月)
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