シルクロード写真館 (カザフスタンとキルギスの遺跡と遺物旅編)

バラサグン遺跡の石臼
(キルギス・トクマク)


 石人像とともに、直径1〜2メートルの巨大な石臼が20数個、一列に並べられているのも壮観です。採集地は石人と同様不明であり、用途も不明です。石臼の向こうに墳墓が見えますが、遺跡内にある3基の墳墓のうちの一つです。石人は墳墓に向かって一列に並べられているのがよく見られますが、石臼の配列はそれを意識したものなのでしょうか。

バラサグン遺跡の墳墓
(キルギス・トクマク)
      
 ブラナの塔の上から眺めた墳墓です。発掘が中断されたままなのでしょうか、墳丘上に口をあけたままの調査の名残りが見られます。近くに浴場跡も発見されているそうです。墳墓の向こうに城壁がきれぎれに連なっているのが見えます。1000×800メートルの城壁だったようで、バラサグンが広く中央アジアの中枢を支配していた要衝であったことがうかがわれます。

バラサグン遺跡の礼拝堂跡
(キルギス・トクマク)


 バラサグンは10世紀にカラハン朝の王都、続いて11世紀には西遼(カラ・キタイ)の王都となり、13世紀まで中央アジアを統括していました。かつては仏教が信奉されていましたが、カラハン朝によってこの一帯はイスラム化されました。その信仰の場である礼拝堂の跡も発見されています。バラサグンは塔、墳墓、礼拝堂などを集合する複合遺跡と言えます。

岩絵野外博物館
(キルギス・チョルポン・アタ)


 ビシュケクの東約260キロに位置するイシク・クル湖岸の小高い扇状地に、今から4000年前の先史時代の人々が描いた岩絵を管理する岩絵野外博物館があります。博物館と言っても鉄柵で囲っただけのものですが、岩絵はどれも見応えのあるものばかりです。大小さまざまな岩がごろごろするなか、絵のある岩は1000個以上あるそうです。

山ヤギの描かれた岩
(キルギス・チョルポン・アタ)


 天山山脈の山中や草原には古代の狩猟民が描いた岩絵が多く見られますが、イシク・クルの湖岸にもあったのは驚きでした。岩の表面に描かれた絵柄は山ヤギが多く、そのほかに狩猟をしている人の姿も見られます。岩絵は散在しているため、順に見学できるようコースを示す看板が立てられています。ここから見下ろす湖の眺めも絶景です。
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