シルクロード写真館 (カザフスタンとキルギスの遺跡と遺物編)

クラースナヤ・レーチカ遺跡
(キルギス ビシュケク・トクマクの中間点)


 大平原のなかにぽつんとある遺跡です。7〜8世紀に栄えた都城ですが、今は土塁が点在しているだけです。しかし、かつてはソグド商人の活躍した相当大きい都だったように思われます。遺跡からは長さ11メートルの涅槃像が発見されましたが、現在はエルミタージュ美術館にあるそうです。20世紀の末にキルギスと日本の共同発掘調査も行われました。

アク・ベシム遺跡
(キルギス トクマク)


 トクマクの南西6キロにある6〜12世紀に栄えた都城跡です。現在遺跡の周辺は草原と畑地が混在しているだけですが、近年の調査によって、唐の玄奘三蔵がインドへ向かう途中に立ち寄った砕葉(スイアブ)城であることが明らかになりました。それを裏付けるかのように仏教寺院跡も発掘されました。城域は750×600メートルと推定されています。

アク・ベシム遺跡の遺構
(キルギス トクマク)


 玄奘三蔵はこの砕葉(スイアブ)城を訪れた折、この地で突厥王のヤグブ可汗に面会し、歓待を受けるとともに、この先の旅路の保護を可汗から約束されたことが『大唐西域記』に記されています。ここは唐の西域経営の最前基地であり、遺跡の上に立つと、「国破れて山河あり…」の漢詩が口をついて出ます。遺構のなかには土器片がたくさん落ちていました。

バラサグン遺跡とブラナの塔
(キルギス・トクマク)


 トクマクの南東10キロにある6〜12世紀に栄えたカラハン朝の王都の一つがバラサグン遺跡です。かつてはここが砕葉(スイアブ)城ではないかとされていました。遺跡内にピサの斜塔のように立っているのがブラナの塔です。現在は24メートルですが、かつては45メートルあったようです。塔の上から眺めると、キャラバンの姿が現われてくるようです。

バラサグン遺跡の突厥族の石人
(キルギス・トクマク)


 遺跡内は野外博物館としてたくさんの石人像が置かれています。キルギスの各地から集められたもので、立っている像、座っている像などその姿はさまざまです。ただ、採集地が不明なのが残念です。突厥の戦士像とも言われていますが、グラスを持った表情豊かな石人像は、ユニークで魅力溢れています。とりわけ大草原で胡座をかく姿などなんとも言えません。
<前へ
次へ>
シルクロード紀行 文机からエッセイ 『シルクロードの謎』 TOPへ戻る≫
ALL Rights reserved,Copyright(C) 2001,S.Matsuzaki  ご意見・ご感想はこちらまで