シルクロード写真館 (天山山脈縦断の旅編)

イシク・クル
(キルギス北東部)


 イシク・クルは、北を天山山脈の支脈クンゲイ・アラ・トー山脈、南をテスケイ・アラ・トー山脈にはさまれた“中央アジアの真珠”と呼ばれる神秘の湖です。大きさは琵琶湖の9倍もあり、湖というよりはまさに“キルギスの青い海”と言えます。湖中には伝説を裏付ける集落跡が沈んでおり、今も謎のヴェールに包まれています。

イシク・クルと
     クンゲイ・アラ・トー山脈
(キルギス、チョルポン・アタ)


 イシク・クルの湖の青さは、湖上に出ると一層実感できます。湖一帯はソ連時代には外国人には開放されていませんでした。クンゲイ・アラ・トー山脈の南麓の町チョルポン・アタは避暑地として最も賑わうところです。湖岸には木々の緑に包まれて、政府要人の別荘や保養所が建ち並んでいます。イシク・クルとは熱い海のことです。

ジェテイ・オグズの奇岩
(キルギス・カラコル郊外)


 イシク・クルの東端の町カラコルの南西の山のなかにある巨大な赤い岩肌の奇岩です。ある女性を争った二人の男性が決闘をしてともに死んでしまったので、求愛された女性の心臓が裂けたのだという伝説があります。ここからさらに渓谷沿いを上るには、軍隊用のようなトラックで行かなければなりません。ジェテイ・オグズとは7頭の雄牛の意味です。

ドリーナ・スベトフ
(キルギス・テスケイ・アラ・トー山脈)


 ジェテイ・オグズ川の上流にある海抜約2300メートルの広大な草地です。ドリーナ・スベトフとは花の盆地のことで、傾斜地に展開する草原には、小さな黄色い花が一面に咲き乱れています。長閑に草を食む牛の群れとキルギス族のユルタ(居住用テント)が、草の緑と針葉樹の林に溶け込み、その美しさを形容する言葉がみつかりません。

ドロン峠
(キルギス・コチコル〜ナリン)


 ドロン峠はテスケイ・アラ・トー山脈の最高地点、海抜約3000メートルにあります。いよいよ天山山脈縦断の峠越えです。山頂の白雪と青い空がなんとも言えません。谷間に広がる草原は、ジャイロと呼ばれる牛や馬、羊たちの放牧地です。古来、遊牧騎馬民族同士の争いは、このジャイロの奪い合いにありました。そういえばキルギスは国土の9割が山岳地帯なのです。
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